高山祭

高山祭とは

高山祭は、岐阜県高山市で毎年開催される、春の「山王祭」と秋の「八幡祭」の二つの祭りの総称です。これらの祭りは、豪華絢爛な「屋台」と呼ばれる山車が街を巡行することで知られ、京都の祇園祭、秩父の秩父夜祭と並んで、日本三大曳山祭の一つに数えられています。また、その美しさから日本三大美祭の一つとも称され、国の重要有形民俗文化財および重要無形民俗文化財にも指定されています。

高山祭の歴史

高山祭の歴史は古く、山王祭は17世紀中頃、八幡祭は18世紀初頭には原型となる祭礼が行われていた記録が残っています。当初は現在のような屋台の曳行はなかったと考えられていますが、江戸時代中期以降、豪華な装飾を施した屋台が登場し、祭りの華やかさを増していきました。

山王祭

山王祭は、毎年4月14日と15日に日枝神社の例祭として行われます。祭りの氏子は安川通り以南の上町地区の住民で、屋台組の他に神輿組と呼ばれる組織が祭りに奉仕しています。神輿を中心とした祭行列は「御巡幸」と呼ばれ、獅子舞や闘鶏楽などの芸能も披露されます。夜には提灯を灯した屋台が曳行される「夜祭」が行われ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しめます。

八幡祭

八幡祭は、毎年10月9日と10日に櫻山八幡宮の例祭として行われます。祭りの氏子は安川通り以北の下町地区の住民で、年行司と副年行司が中心となり祭りを運営します。神輿を中心とした祭行列は「御神幸」と呼ばれ、獅子舞などの芸能も披露されます。夜には提灯を灯した屋台が曳行される「宵祭」が行われます。

屋台の特徴

高山祭の屋台は、その豪華な装飾と精巧な細工が特徴です。「動く陽明門」とも称され、各屋台には見事な彫刻や刺繍が施されています。屋台は、屋根の高さが調節できる機構や、方向転換をスムーズに行うための独自の機構を備えている点も特徴的です。各屋台にはそれぞれ独自の台紋があり、衣装や装飾にもあしらわれています。

屋台の保管と公開

祭りの期間以外、屋台は各町内の屋台蔵に保管されています。これらの屋台蔵は、高山市内のあちこちで見ることができます。秋の八幡祭の屋台は、祭の期間以外は高山祭屋台会館で一般公開されており、その美しい姿をいつでも見学することができます。

高山祭の文化的価値

高山祭は、その歴史的、文化的価値が認められ、1960年には「高山祭屋台」が重要有形民俗文化財に、1979年には「高山祭の屋台行事」が重要無形民俗文化財に指定されました。さらに2016年には、ユネスコ無形文化遺産にも登録され、世界的にその価値が認められています。

近年の高山祭

近年では、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年と2021年には屋台の曳行が見送られ、神事のみが行われました。2022年には、祭りが3年ぶりに実施されましたが、一部行事が中止となりました。

春の山王祭の屋台

神楽台: 山王祭の先頭を行く屋台で、神楽を奏でるための大太鼓が特徴です。
三番叟: 能や狂言の演目にならい、からくり人形が舞う屋台です。
麒麟台: 屋根飾りの麒麟が特徴で、豪華な彫刻が施されています。
石橋台: 美女が獅子舞に変わるからくりを備えた屋台です。
五台山: 雲竜昇天図の見送りが特徴的な屋台です。
鳳凰台: 高山祭の屋台の中で最も高い屋台で、長刀鉾を備えています。
恵比須台: 手長足長の彫刻が特徴的な屋台です。
龍神台: 能の竹生島を題材にしたからくりが特徴の屋台です。
崑崗台: 宝珠の形が特徴的な屋台です。
琴高台: 鯉の彫刻や刺繍が特徴的な屋台です。
大国台: 大黒天の人形を祀った屋台です。
青龍台: 高山祭の屋台で唯一の入母屋造りの屋根を持つ屋台です。
黄鶴台: 現在は休台となっています。
応龍台: 現在は休台となっています。
南車台: 現在は休台となっています。
陵王台: 現在は休台となっています。

秋の八幡祭の屋台

神楽台: 八幡祭の先頭を行く屋台で、大太鼓が特徴です。
布袋台: 唐子のからくりが特徴的な屋台です。
金鳳台: 神功皇后と竹内宿禰の人形を載せた屋台です。
大八台: 大型の御所車が特徴の屋台です。
鳩峯車: 樹下美人図の見送りが特徴の屋台です。
神馬台: 般若の大幕が特徴の屋台です。
仙人台: 高山の屋台で唯一の唐破風の屋根を持つ屋台です。
行神台: 役行者の人形を載せた屋台です。
宝珠台: 台輪が特徴的な屋台です。
豊明台: 様々な彫刻が施された屋台です。
鳳凰台: 鳳凰の飾りが特徴の屋台です。
浦島台: 現在は廃台となっています。
牛若台: 現在は廃台となっています。
船鉾台: 現在は廃台となっています。
文政台: 現在は廃台となっています。

その他の屋台

東山白山神社 神楽台: 東山白山神社の祭礼に用いられる屋台です。
* 飛騨総社 神楽台: 飛騨総社の祭礼に用いられる屋台です。

これらの屋台は高山祭には含まれませんが、岐阜県の重要有形民俗文化財に指定されています。

高山祭を題材にした作品

高山祭は、映画や小説、歌など、さまざまな作品の題材にもなっています。

まとめ

高山祭は、その豪華絢爛な屋台と、歴史と文化が息づく祭りです。ユネスコ無形文化遺産にも登録され、世界的に注目されています。ぜひ一度、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

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