三砂ちづる

三砂ちづるは、1958年9月6日に山口県光市で生まれ、兵庫県西宮市で育った日本の疫学者です。現在は、津田塾大学学芸学部多文化・国際協力学科の教授を務めています。

1981年に京都薬科大学薬学部を卒業後、薬剤師として勤務する傍ら、神戸大学経済学部（第二課程）を卒業。その後、琉球大学大学院保健学研究科修士課程を修了しました。1999年にはロンドン大学でPh.D.（疫学）を取得し、ロンドン大学衛生熱帯医学院の研究員やJICAの疫学専門家として国際的な活動にも従事しました。2001年からは国立公衆衛生院（現在の国立保健医療科学院）疫学部で勤務し、2004年より現職である津田塾大学教授に就任しました。

三砂教授は、疫学研究者としての専門知識を生かし、特に女性の身体や健康に関する問題を深く掘り下げた著作を多数発表しています。これらの著作では、現代社会における女性の身体の変化や、その背景にある社会的な要因、さらには伝統的な知恵の重要性などが考察されています。

代表的な著書としては、以下のようなものがあります。

『昔の女性はできていた―忘れられている女性の身体に“在る”力』（宝島社、2004年）：女性の身体が本来持つ力に着目し、現代社会における女性の身体の変化について考察した作品。
『オニババ化する女たち―女性の身体性を取り戻す』（光文社新書、2004年）：現代社会における女性の身体性の喪失を問題提起し、その回復を訴える作品。
『疫学への招待―周産期を例として』（医学書院、2005年）：疫学の基礎を解説しつつ、周産期の事例を通じて、疫学研究の意義を分かりやすく説明した作品。
『コミットメントの力 人と人がかかわるとき』（NTT出版、2007年）：人間関係におけるコミットメントの重要性を説いた作品。
『きものとからだ』（バジリコ、2008年）：日本の伝統的な衣服である着物に着目し、その身体に対する効果を考察した作品。後に『きものは、からだにとてもいい』と改題。
『不機嫌な夫婦 なぜ女たちは「本能」を忘れたのか』（朝日新書 2012）：夫婦関係における不機嫌さの原因を分析し、女性の本能を取り戻すことの重要性を説いた作品。
『五感を育てるおむつなし育児』（主婦の友社 2013）：おむつなし育児を通じて、赤ちゃんの五感を育む方法を紹介した作品。
『女を生きる覚悟』（KADOKAWA 2014）：現代社会における女性の生き方について、力強く提言した作品。

また、共著や編著、訳書も多数あります。

『女は毎月生まれかわる―からだと心が元気になる「月経血コントロール」ゆる体操』（ビジネス社 2004年）：高岡英夫氏との共著で、月経血コントロールとゆる体操について解説した作品。
『身体知―身体が教えてくれること』（バジリコ 2006年）：内田樹氏との共著で、身体が持つ知恵について考察した作品。
『赤ちゃんにおむつはいらない 失われた育児技法を求めて』（勁草書房 2009年）：編著として、おむつを使わない育児法について論じた作品。
『女子の遺伝子』(亜紀書房 2013): よしもとばなな氏との共著。
* パウロ・フレイレ著『新訳被抑圧者の教育学』（亜紀書房 2011）：教育学の名著の新訳。

三砂教授の研究と著作は、女性の身体と健康に関する問題だけでなく、現代社会における人間関係や生き方、そして社会構造そのものにまで及んでいます。その深い洞察力と、社会に対する熱いメッセージは、多くの人々に影響を与えています。

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