三菱ふそう・エアロスターMM

三菱ふそう9m大型バスシリーズ：半世紀の歴史と進化

三菱ふそうトラック・バスは、長年にわたり9mクラスの大型路線バスと観光バスを製造してきました。本稿では、1950年代初頭のモデルから2017年に生産終了したエアロエース ショートタイプMMまで、その歴史と進化をたどります。

黎明期：9mバスの隆盛と変遷

9mクラスのリヤエンジンバスは、1950年代初頭のR23/R24型を起源とします。当時、道路事情やバス事業者のニーズから、9mクラスは標準的なサイズであり、地方では貸切用途でも一定の需要がありました。しかし、道路事情の改善や乗客数の増加により、10～11mクラスが主流になると、9mクラスは狭隘路線向けに特化していきます。1964年登場のMR510型、1967年のMR520型は、その代表例と言えるでしょう。MR520は1974年まで製造され、その後継としてMMシリーズが誕生します。

MMシリーズ：モノコックボディ時代の技術革新

1974年登場のMM104H/504H型は、中型バスMKのコンポーネントを流用。呉羽自動車工業（現三菱ふそうバス製造）製のボディを搭載し、リーフサス車とエアサス車が設定されました。路線車だけでなく、自家用や観光用としても利用されました。1978年のMM115H/515H型では、2段サッシ窓が標準となり、エアサス車はホイールベースが短縮されました。1980年には排出ガス規制に対応したK-、P-MM116H/516H型が登場し、1981年にはスケルトンボディへと進化しました。北海道中央バスや道南バスでは、路線車への改造登録車も存在しました。

エアロミディMM：エアロデザインの採用

1988年、MMシリーズはエアロデザインを取り入れ、「エアロミディMM」へとモデルチェンジ。路線用はエアロスターK、観光・自家用はエアロミディMKを彷彿とさせるボディデザインとなりました。1990年には排出ガス規制に対応したU-MM117J/517J型が登場しましたが、大きな変更はありませんでした。

エアロスターMM/ニューエアロスターMM：大型路線バスとの統合

1993年、路線・自家用仕様車は「エアロスターMM」となり、エアロスターMを思わせるボディデザインが採用されました。1995年には平成6年排出ガス規制に適合したKC-MM219J/619J型が登場。1996年にはフルモデルチェンジを行い、「ニューエアロスターMM」に。エアロスター（2代目）に似たボディと、OHV、のちにOHCの6D17/6M61エンジンを搭載しました。しかし、ツーステップ車のみの設定だったため、2002年の交通バリアフリー法施行を機に路線車仕様は廃止されました。自家用仕様も2004年に生産終了しました。

エアロバスMM：観光バス市場への貢献

1993年、観光バス向けとして「エアロバスMM」が登場。エアロバス（2代目）を思わせるボディデザインが特徴です。排出ガス規制への対応や、安全規制の強化のため、何度かモデルチェンジを実施。2007年に生産終了しました。

エアロエース ショートタイプMM：新たな時代の幕開け

2008年、大型観光バス「エアロエース」の9m版として「エアロエース ショートタイプMM」が登場。日産ディーゼル工業（現UDトラックス）との業務提携により、日産ディーゼルへのOEM供給も行われました。新長期規制に対応し、PM（粒子状物質）排出量を低減。直結式フルオートエアコンやコモンレール方式の6M60系エンジンを搭載しました。2011年、2012年とマイナーチェンジを行い、安全性能を強化、排出ガス規制にも適合。2017年に生産を終了しました。

まとめ

三菱ふそうの9m大型バスシリーズは、時代の変化と技術革新を反映しながら、長年にわたりバス事業者を支えてきました。その歴史は、日本のバス業界の変遷そのものと言えるでしょう。 狭隘路線から観光まで幅広く活躍したこれらの車両は、日本の道路事情と密接に関わってきたと言えるでしょう。今後のバス業界における大型短尺車の役割も注目されます。

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