三菱スペース・ソフトウエア

三菱スペース・ソフトウエア株式会社について

三菱スペース・ソフトウエア株式会社は、かつて三菱グループに属していたソフトウェア開発企業です。1962年に三菱電機とアメリカのTRW社の合弁会社として設立され、その後、三菱グループの主要企業とTRW社の共同出資によって運営されていました。

事業内容

同社は、宇宙システム、防衛システム、通信システム、航空システム、ライフサイエンス関連、車載システム、防災・環境システム、公共・IT関連、情報セキュリティ関連など、多岐にわたる分野で事業を展開していました。特に、宇宙・防衛分野においては、高度な技術力と豊富な実績を持っており、日本の宇宙開発や防衛に大きく貢献していました。

宇宙システム

基幹ロケットの航法誘導技術や人工衛星のシステム開発、運用支援、熱・構造解析など、宇宙関連ソフトウェア開発を幅広く行っていました。具体的には、「だいち（ALOS）」や「いぶき（GOSAT）」といった人工衛星の開発に携わったほか、H-IIシリーズなどのロケット開発にも関与していました。

防衛システム

レーダー、ミサイル、通信機器などの防衛装備品ソフトウェアや情報処理システムの開発、作戦分析・作戦訓練装置向けシミュレーションモデルの構築などを行っていました。航空機、艦船、車両に搭載される機器の組込ソフトウェア開発にも携わっていました。

通信システム

通信キャリア向けの高度通信ネットワークシステム開発や車載ソフトウェア開発、高度道路交通システム関連のソフトウェア開発を行っていました。EPSステアリングアシスト制御やカーマルチメディア、EV関連の制御システムといった分野にも関わっていました。

航空システム

国産ジェット旅客機開発を支援しており、開発プロセスの検証、安全性・信頼性の解析、飛行力学モデルの構築とシミュレーションなどを行っていました。

防災・環境システム

地震解析・シミュレーションの研究支援やシステム開発、鉄道関連の防災システム構築、緊急地震速報の配信事業を行っていました。「MJ@lert」という高度利用者向け緊急地震情報配信サービスも提供していました。

ライフサイエンス関連

農業生物資源研究所のDNAバンクのシステム構築及び運用や、ゲノム創薬・テーラーメイド医療といった分野に実績がありました。北海道がんセンターにおける網羅的がん遺伝子解析にも参画するなど、最先端の分野にも積極的に取り組んでいました。

車載システム

制御系、ボディ系、マルチメディア系など、幅広い車載ソフトウェアの開発を行っていました。

公共・IT関連

官公庁、地方自治体、民間企業、自然科学研究機関などに対し、基幹情報処理システムやネットワークの構築から、運用・保守、分析まで、幅広いSIサービスを提供していました。

情報セキュリティ関連

情報発信型ネットワーク・フォレンジック・システム「Dynamic MSIESER」や個人情報ファイル検出ツール「すみずみ君」など、独自のセキュリティ製品を開発・提供していました。標的型攻撃メール対応トレーニングや大容量ファイル転送サービス「SPACE PORTER」も提供していました。

沿革

1962年：三菱電機とTRW社の合弁企業「三菱テー・アール・ダブリュ株式会社」として設立。
1966年：TRW社と宇宙分野の技術に関する契約を締結。
1968年：科学技術庁宇宙開発推進本部の宇宙開発計画に参画。
1974年：TRW社との合弁事業契約を終了。
1976年：社名を「三菱スペース・ソフトウエア株式会社」に変更。
1978年：鎌倉分室（現・鎌倉事業部）を開設。
1982年：通信制御分野へ進出。
1984年：関西地区の拠点として通信機分室（現・関西事業部）を開設。
1986年：防衛システム技術分野へ進出。
1988年：システム研究所（現・鎌倉事業部）、筑波分室（現・つくば事業部）を開設。
1989年：関連会社「日本アドバンス・テクノロジー株式会社」を設立。
1991年：カーナビゲーションシステム分野へ進出。
1992年：システム運用センター（現・鎌倉事業部）を開設。
1993年：DNA情報管理利用システム分野へ進出。
1994年：ETC（Electronic Toll Collection）システム分野へ進出。
1995年：防災システム分野へ進出、情報エンジニアリングセンター（現・つくば事業部）を開設。
1998年：つくば、鎌倉、関西の三事業部体制を導入。
2000年：東京地区にSE拠点を設置。
2003年：セキュリティ分野、インターネット・通信分野へ進出。
2004年：東京事業部を開設し、東京、つくば、鎌倉、関西の四事業部体制を導入。
2008年：営業本部体制を導入。
2009年：東京事業部を再編し、つくば、鎌倉、関西の三事業部体制を導入。
2010年：中部地区（名古屋）に営業拠点を設置。
2012年：創立50周年。
2013年：中部地区（名古屋）に中部事業所を開設。
2017年：創立55周年。
2022年：三菱電機ソフトウエアに統合。

事業所

本社：東京都港区
中部事業所：愛知県名古屋市
つくば事業部：茨城県つくば市
鎌倉事業部：神奈川県鎌倉市
関西事業部：兵庫県尼崎市

関連会社

日本アドバンス・テクノロジー株式会社（100％出資）

統合

2022年4月1日、三菱スペース・ソフトウエアを含む三菱電機グループのソフトウェア開発会社6社は、三菱電機ソフトウエア株式会社に統合されました。

外部リンク

三菱電機ソフトウエア

三菱スペース・ソフトウエアは、その高度な技術力と幅広い事業展開を通じて、日本の社会インフラや産業の発展に大きく貢献した企業でした。その技術と精神は、統合先の三菱電機ソフトウエアに引き継がれ、さらなる発展が期待されています。

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