三菱・カリスマ

三菱 カリスマ：欧州テイストのミドルセダン

三菱自動車が1996年から2000年にかけて販売していたカリスマは、同社のミドルクラスセダンとして、興味深い歴史を持つモデルです。日本市場では、ミラージュやランサーの上、ギャランの下に位置付けられていました。最大の特徴は、オランダのネッドカーで生産された逆輸入車であった点です。この製造背景が、その独特のキャラクターを形成しています。

デザインとメカニズム

カリスマのボディスタイルは4ドアセダンで、日本仕様は5ナンバーサイズに収まるコンパクトな設計でした。これは、同社の他のセダンモデルとは異なる点であり、日本の道路事情に合わせた戦略と言えるでしょう。スタイリングは、欧州車らしい洗練されたデザインを目指していました。

搭載エンジンは1.8L直列4気筒SOHC16バルブが初期型、のちにDOHC16バルブGDIエンジンへと変更されました。トランスミッションはINVECS-II 4ATが組み合わせられ、駆動方式はFFのみでした。欧州仕様車には、5ドアハッチバックモデルやディーゼルエンジン搭載車も存在しました。

足回りは、欧州車らしいソフトなセッティングが施されていました。ロール量は大きめでしたが、快適性を重視した設計です。フロントにはストラット、リアにはトレーリングアームのサスペンションが採用され、フロントブレーキにはベンチレーテッドディスクが装着され、冷却性能の向上に貢献していました。

装備とグレード

日本仕様のグレード体系は、「L」、「LX」、「LS」の3種類（のちに「L」が廃止）から構成されており、最上級グレードの「LS」には、ABSやフロントエアバッグ（運転席・助手席）が標準装備されるなど、安全装備にも配慮がなされていました。「LS」にはフロントスポイラーやサイドエアダム、フルオートエアコンなどの快適装備も標準で用意されました。ボディカラーも複数用意され、時代のトレンドを反映していました。

市場での位置づけと販売

カリスマは、日本市場ではカープラザ店専売モデルとして販売されました。販売期間は比較的短く、2000年には日本での輸入が終了、2001年には在庫販売も終了しました。後継車種としては、8代目ギャランの姉妹車であるアスパイアが挙げられます。

欧州市場では、スペーススター、ボルボS40/V40とプラットフォームを共有しており、三菱のグローバル戦略の一端を担っていました。興味深いことに、欧州仕様のランサーエボリューションは「カリスマGT」として販売されていました。

まとめ

カリスマは、欧州で生産された逆輸入車という珍しい経歴を持つ、三菱のミドルセダンでした。5ナンバーサイズボディ、1.8Lエンジン、欧州車らしいソフトな足回り、そして充実装備が特徴です。販売期間は短かったものの、三菱のグローバル戦略や、時代の技術トレンドを反映したモデルとして、自動車史にその名を刻んでいます。その存在は、三菱がグローバル市場を目指していた時代の証左と言えるでしょう。また、プラットフォームを共有したボルボ車との技術的な繋がりも、カリスマというモデルをより深く理解する上で重要な要素となります。

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