三菱・ギャラン

三菱 ギャラン：半世紀にわたる歴史と進化

三菱ギャランは、1969年から2005年まで日本市場で販売され、その後も海外市場で生産が続けられた、三菱自動車を代表する乗用車です。8世代にわたるモデルチェンジと、数々の派生モデルを生み出し、日本の自動車史に大きな足跡を残しました。本稿では、ギャランの歴史を初代モデルから最終モデルまで、詳しく解説します。

初代ギャラン (1969年-1973年): コルトギャランの誕生

1969年12月、コルト1500の後継車として「コルトギャラン」がデビュー。ジョルジェット・ジウジアーロのデザイン案を参考に開発された、ダイナウェッジラインを採用した斬新なスタイリングが話題を呼びました。1.3Lと1.5Lのエンジンを搭載し、セダンとエステートバンがラインナップされました。1970年には2ドアハードトップが追加され、スタイリッシュなデザインが人気を博しました。

2代目ギャラン (1973年-1977年): ニューギャランの登場

1973年6月、「コルト」のサブネームが外れ、「ギャラン」としてフルモデルチェンジ。ボディサイズが拡大され、1.6L、1.85L、2.0Lのエンジンが搭載されました。デザインは先代を踏襲しつつ、曲面を多用したより柔らかな印象に。しかし、発売直後のオイルショックの影響で販売は苦戦しました。

3代目ギャラン (1976年-1980年): ギャランΣの誕生

1976年5月、サブネームに「Σ」が付いた3代目ギャランが登場。ヨーロピアンテイストを取り入れたスタイリッシュなデザインが特徴で、1.6L、1.85L、2.0Lエンジンが用意されました。このモデルは、シリーズを通じて最も販売台数が多く、三菱自動車の躍進に大きく貢献しました。

4代目ギャラン (1980年-1985年): スラントノーズと先進技術

1980年5月、フルモデルチェンジ。空力性能を重視したスラントノーズが特徴的なスタイリングを採用。1.6L、1.85L、2.0Lのガソリンエンジンと、2.3Lのディーゼルエンジンがラインナップされました。また、ドライブコンピューターやパワーリクライニングシートなど、当時の最先端技術を積極的に採用しました。

5代目ギャラン (1983年-1999年): FF化と高性能ターボ

1983年8月、フルモデルチェンジによりFF駆動方式を採用。世界初となるオートラッシュアジャスタを採用したエンジンを搭載しました。2.0Lターボエンジン搭載モデルは、200馬力を超える高い出力と優れた走行性能で注目を集めました。また、ハードトップモデルも追加され、幅広いニーズに対応しました。タクシー仕様は1999年まで生産されました。

6代目ギャラン (1987年-1992年): オーガニックフォルムとVR-4

1987年登場の6代目ギャランは、「オーガニックフォルム」と呼ばれる特徴的なデザインを採用。特に、高性能モデルのVR-4は、4WD、4WS、アクティブサスペンションなどを搭載し、WRCでも活躍しました。2.0L DOHCターボエンジンは、シリーズを通じて進化を続け、高い評価を獲得しました。

7代目ギャラン (1992年-1996年): V6エンジンと丸みのあるデザイン

1992年5月、7代目ギャランが登場。丸みを帯びた3ナンバーボディを採用し、新開発のV6エンジンを搭載しました。VR-4は2.0L V6ツインターボエンジンを搭載し、高い性能を誇りました。ギャランスポーツという5ドアハッチバックモデルも追加されました。

8代目ギャラン (1996年-2005年): GDIエンジンと逆スラントグリル

1996年8月、世界初の量産ガソリン直噴エンジンGDIを搭載したモデルが登場。VR-4は2.5L V6ツインターボエンジンを搭載し、280psという高い出力を実現しました。しかし、GDIエンジンの初期モデルは不具合も多く、販売には苦戦しました。2005年、日本市場での販売を終了しました。

9代目ギャラン (2003年-2013年): 北米とアジア市場向け

日本市場からの撤退後も、北米とアジア市場向けに生産が続けられました。北米仕様は大型化され、2013年に生産終了。アジア仕様は台湾、中国などで生産・販売されました。

10代目ギャラン (2015年-2017年): ブルネイでの販売

2015年、ブルネイでランサースポーツバックをベースとしたギャランが販売されましたが、販売不振により2017年に生産終了。

ギャランの派生車種

ギャランシリーズからは、ギャランΛ、ギャランGTO、ギャランクーペFTOなど、数多くの派生車種が誕生しました。これらのモデルも、それぞれ独自の個性と魅力を持っていました。

ギャランという名前の由来

「GALANT」はフランス語で「勇ましい、華麗な」などを意味する言葉です。「Σ」はギリシャ文字で、ギャランにおいては「あらゆる面での良さを集大成した理想的なセダン」という意味が込められています。

まとめ

三菱ギャランは、長年にわたって日本の自動車文化に貢献した重要なモデルです。時代とともに進化を続けながら、常にユーザーのニーズに応えようと努力してきたその歴史は、日本の自動車産業の発展を象徴するものです。

もう一度検索