三菱・シグマ

シグマ（SIGMA）について

シグマは、かつて三菱自動車工業が生産していた高級セダンです。その位置付けは、プラットフォームを同じくするディアマンテとする大型セダンとされており、1990年10月に登場しました。シグマは、運転者の快適性と先進技術を追求し、多くの特長を備えています。

デザインと仕様

シグマのデザインは、前期型では角目の4灯ヘッドライトと独立したグリルが採用されており、ディアマンテとの差別化が図られていました。しかし、中期型以降には、ディアマンテと同じフロントマスクに変更されました。機能面では、4WDモデルにはフルタイム4WD、4WS（4輪操舵）、4ABS（4輪アンチロックブレーキ）、独立した四輪懸架システムが「アクティブ・フォー・システム」として搭載されています。一方、2WDモデルには、トラクションコントロールシステムやアクティブECSが加わった「アクティブ・ツー・システム」が採用されています。また、シグマは運転者のニーズに応じてシートやステアリングの位置を自動で調整する、三菱独自の「インテリジェントコクピットシステム」を初めて搭載したモデルでもあります。

パトカー仕様と輸出

シグマは、警察車両としても重視されていました。特にパトカー仕様は、国内において初めてV6・2.5Lエンジンを搭載した重要なモデルであり、日本中の警察で使用されました。モデル末期には新しいデザインの散光灯も搭載され、より視認性が向上しました。国外では、4ドアハードトップの需要が低い地域に輸出されることもあり、その際には前期型でもディアマンテと同様のフロントマスクが用いられました。また、輸出仕様は3.0Lエンジンにマニュアルトランスミッションも設定されていましたが、日本仕様では2.0Lと2.5Lエンジンに限られていました。

歴史の歩み

シグマは1990年10月に市場に登場し、以降も様々な改良を重ねていきました。1991年にはパトカー仕様が追加され、エンジンにV6 2.5Lを採用し、5速マニュアルトランスミッションを組み合わせました。その後、1992年にはエンジンの改良が行われ、新しい6A12型エンジンに置き換えられました。また1993年には、法人向けの新グレード「20Eエクゼクティブ」が追加され、特に役員送迎車としての機能が強化されました。その後、1994年には日本国内の製造が中止され、1996年には海外仕様やパトカー仕様の生産も終了しました。シグマは一代限りのモデルとして幕を閉じましたが、その後ディアマンテが後継モデルとなり、パトカー仕様はディアマンテに継承されました。

名称の由来と関連項目

「シグマ」という名称は、オーストラリア市場においてクライスラー・オーストラリアが販売したクライスラー・シグマに由来しています。このモデルは、1977年に販売された三菱・ギャランΛをベースにしており、1982年にはギャランΣモデルに基づく二代目が登場しました。

シグマはその独自の歴史と技術革新により、三菱自動車の製品ラインにおいて独特の地位を築きました。残念ながら生産は終了しましたが、その存在感は今もなお多くの車愛好者の記憶に残っています。

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