三菱・チャレンジャー

三菱チャレンジャー：多岐にわたる歴史と進化を遂げたSUV

三菱自動車工業が製造・販売していたミッドサイズSUV「チャレンジャー」は、その多様なモデル展開と進化で、世界中の市場で独自の地位を築いてきました。日本では1996年から2001年まで販売されていましたが、現在では「パジェロスポーツ」や「モンテロスポーツ」といった名称で、日本や米国を除く世界各国で販売されています。

初代 K94・96・99W/94・97WG型（1996年 - 2011年）

初代チャレンジャーは、2代目パジェロのラダーフレームをベースに開発されました。モデルによって5ナンバーサイズと3ナンバーサイズが存在し、簡易キャンピング仕様の8ナンバーモデルもラインナップされていました。エンジンは、V型6気筒ガソリンエンジンと直列4気筒ディーゼルターボエンジンの3種類から始まり、後にV型6気筒GDIエンジンが追加され、ディーゼルエンジンも電子制御化されました。サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアが3リンク式を採用し、四輪駆動システムにはスーパーセレクト4WDが搭載されました。これにより、舗装路での走行性能と悪路走破性を両立し、パートタイム4WDとフルタイム4WDの長所を兼ね備えていました。初期にはアメリカの衝突安全テストで「不可」評価を受けましたが、2001年以降は「優」評価を獲得しました。

歴史

1996年7月：販売開始。3.0L V6ガソリンエンジン、2.8Lと2.5Lの直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載。スーパーセレクト4WDとイージーセレクト4WDが設定されました。
1997年1月：ダカールラリーに参戦し、総合4位入賞。
1997年8月：マイナーチェンジ。ガソリンエンジンを3.5L GDIエンジンに変更し、ディーゼルエンジンを電子制御化。ATも5速化されました。
1998年1月：ダカールラリーに参戦し、総合4位入賞。
1998年8月：一部改良。GDIエコランプやUVカットガラスなどの装備を充実化。シティクルージングの駆動方式をフルタイム4WDに変更。
1999年1月：ダカールラリーに参戦し、総合6位入賞。
1999年6月：マイナーチェンジ。フロントデザインを刷新。ディーゼルターボを廃止し、ガソリンエンジンに一本化。内装も変更されました。グレードは2つに集約し、全グレードでフルタイム4WDとなりました。オフロードパッケージも追加。
2000年11月：テカテ・スコア・バハ2000に参戦し、クラス優勝。
2001年6月：国内販売終了。
2002年11月：第35回 TECATE SCORE BAJA 1000 に参戦しクラス優勝。
2003年：アメリカでの販売を終了。中国ではライセンス生産も行われました。
2011年：「パジェロスポーツ」として輸出専用車を生産終了。

2代目（2007年 - 2016年）

2代目チャレンジャーは、新開発のラダーフレームを採用し、軽量化が図られました。エンジンは、ガソリンとディーゼルの4種類が用意され、4WD車にはスーパーセレクト4WDに加え、アクティブスタビリティ&トラクションコントロール（ASTC）が搭載されました。これにより、滑りやすい路面での安定性が向上し、悪路走破性能も高められました。オーストラリアの衝突安全テストでは、4つ星評価を獲得しています。

歴史

2008年8月：モスクワ国際モーターショーで新型「パジェロスポーツ」が世界初公開。
2008年9月：タイ仕様のパジェロスポーツが公開。
2008年12月：ダカールラリー参戦マシン「パジェロスポーツエボリューション」が公開。
2009年1月：ダカールラリーに参戦。完走。
2016年未明：ウェブサイトの商品情報から削除され、3代目に切り替えられました。

3代目（2015年 - ）

3代目チャレンジャーは、2.4L MIVECディーゼルターボエンジンと8速ATを搭載し、四輪駆動システムも進化。オフロードモード制御やヒルディセントコントロールを初採用し、アクティブスタビリティ&トラクションコントロール（ASTC）も搭載されています。外観には「ダイナミックシールド」と呼ばれる新世代フロントフェイスデザインが採用され、安全面でも先進装備が充実しています。

歴史

2015年8月：タイでフルモデルチェンジが発表され、順次発売開始。
2019年7月：大幅改良モデルがタイで世界初披露。内外装デザインの変更、先進装備の追加、安全性能の強化が行われました。
2021年2月：インドネシア向けパジェロスポーツがフルモデルチェンジ。
2024年3月：タイで改良モデルが発表。

製造拠点

初代：パジェロ製造（岐阜県）、三菱自動車工業名古屋製作所大江工場（愛知県）、ミツビシ・モータース・タイランドラムチャバン工場（タイ）、北京ベンツ・ダイムラークライスラー（中国）
2代目：ミツビシ・モータース・タイランドラムチャバン工場（タイ）、Pragoti Industries（バングラデシュ）、ビナスター・モーターズ（ベトナム）、MMC Automotores do Brasil（ブラジル）、GAC MITSUBISHI MOTORS（中国）

派生車

三菱・エアトレック：日本における後継車
三菱・エンデバー：米国における後継車
三菱・ジンガー：シャシーフレームを流用したMPV
三菱・パジェロスポーツFlex：本車をベースとしたFFV
三菱・パジェロスポーツエボリューション：本車ベースのラリーカー



チャレンジャーは、その多様な歴史の中で、進化を続け、世界中で愛されるSUVとして、これからもその存在感を示し続けるでしょう。

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