三菱東7号館

三菱東7号館とその歴史

三菱東7号館は、かつて東京都千代田区丸の内に存在した、歴史的な建築物です。旧称は三菱第3号館であり、その別館である東7号館別館についてもここで記述します。

沿革

丸の内地区の払い下げを受けた三菱合資会社は、1892年（明治25年）に第2号館に続く第3号館の建設に着手しました。建設地は東京府東京市麹町区有楽町1-1（現在の東京都千代田区丸の内3-2）であり、1893年（明治26年）6月に工事が始まり、1896年（明治29年）4月に竣工しました。

当初の計画通り、竣工当初は日本郵船会社の本社屋として使用され、また時期は不明ですが、高田商会も一時的に本店を置いていました。1918年（大正7年）3月には、三菱によって東7号館と改称されました。

1923年（大正12年）、日本郵船が新本社社屋である郵船ビルディングを建設し、移転を進める中で、同年6月8日に火災が発生し、3階部分が焼失しました。さらに同年9月1日には関東大震災が発生し、屋根部分のデザインを変更して1924年（大正13年）3月に復旧されました。

日本郵船の退去後、三菱は新たな賃借人である東京瓦斯会社の要請に応じ、倉庫などを撤去した上で、1929年（昭和4年）8月17日に別館を建設しました。しかし、東京瓦斯会社が退去したため、別館は丸之内会館として利用されることになりました。

第二次世界大戦後の1946年（昭和21年）1月、連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ) が別館を接収し、アメリカの報道機関の宿舎として使用しました。同年4月には本館も接収され、1956年（昭和31年）3月13日に接収が解除されるまで、診療所や医学総合研究所として利用されました。

接収解除後、三菱地所会社は再び貸事務所として利用しましたが、新たな貸事務所の建設地として利用するために、1961年（昭和36年）8月から取り壊しが開始されました。跡地には新東京ビルヂングの第1期部分が建設されました。

建築概要

三菱東7号館の設計は、曽禰達蔵が担当しました。特に注目すべきは、イギリスのオーチス社製の水圧式エレベーターが設置されたことであり、これは日本における貸事務所へのエレベーター設置の先駆けとなりました。平面計画は、棟割長屋形式ではなく、中廊下形式を採用し、部屋割りの間取りが構成されていました。

別館の設計は、三菱合資会社地所部が担当しました。

三菱東7号館は、その歴史の中で様々な役割を果たし、時代の変遷とともにその姿を変えてきました。現在はもう存在しませんが、その歴史は今も語り継がれています。

参考文献

『建築雑誌』 第111号、造家學會、明治29年（1896年）3月25日。
丸の内の三建物（日本郵船会社）（国民新聞）
『建築雑誌』 第45集第543号、建築學會、昭和6年（1931年）3月25日。
丸之内会館工事概要
* 三菱地所株式会社社史編纂室編 『丸の内百年のあゆみ-三菱地所社史』 三菱地所株式会社、平成5年（1993年）。

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