三輪壽雪

三輪 壽雪

三輪 壽雪（みわ じゅせつ）は、明治43年（1910年）2月4日に生まれ、平成24年（2012年）12月11日に102歳でその生涯を閉じた日本の著名な陶芸家です。本名を節夫といい、第11代三輪休雪の名跡を継ぎました。特に、昭和58年（1983年）には萩焼の重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝に認定されています。

三輪壽雪は山口県萩市の出身で、代々萩焼を家業とする三輪窯の家に生まれました。この窯元は、かつて旧萩藩の御用窯を務めた歴史ある家系です。彼は九代休雪である三輪雪堂の三男として生を受け、早くから陶芸の世界に身を置くことになります。

大正15年（1926年）、旧制萩中学校を卒業した後、壽雪は兄である十代休雪（後に休和と号す）のもとで、萩焼に伝わる伝統的な技法を学び始めました。そして、昭和16年（1941年）には三重県津市で作陶していた陶芸家、川喜田半泥子に師事し、茶陶の制作技法について深く教えを受けました。独立するまでの約30年間、彼はひたすら陶芸の修練に打ち込み、昭和19年（1944年）に召集された期間を除き、休むことなく作陶活動を続けました。

昭和30年（1955年）に「休」という雅号で作家としての活動を本格的に開始しました。昭和32年（1957年）には、日本伝統工芸展に初めて出品した作品「組皿」が入選を果たし、その後、昭和35年（1960年）には日本工芸会の正会員となるなど、その実力が広く認められるようになります。兄である十代休雪（休和）と並び称されるほど、高い評価を確立していきました。

壽雪の作品は、萩焼の古来からの伝統を受け継ぎながらも、彼独自の鋭敏な感覚を取り入れたものでした。特に、古式ゆかしい茶陶の作風に新たな展開をもたらしたことは大きな功績です。伝統的な萩焼に見られる、長石を主成分とした釉薬を用いた作品に加え、彼自身が大成させた純白の藁灰釉による「休雪白」の作品を発表しました。「休雪白」は、その豪快かつ大胆な造形や意匠と見事に融合し、壽雪作品の大きな特色の一つとなっています。

昭和42年（1967年）、兄である十代休雪が隠居したことに伴い、三輪窯の家元を継承し、第11代三輪休雪を襲名しました。

栄誉にも輝き、昭和51年（1976年）には紫綬褒章を受章。さらに昭和57年（1982年）には勲四等瑞宝章を受けました。そして、昭和58年（1983年）4月13日には、重要無形文化財「萩焼」の保持者、人間国宝に認定されました。この時、兄の休和も既に人間国宝であったため、兄弟そろって人間国宝に認定されるという快挙は、陶芸界において前例のない出来事として大きな話題となりました。

人間国宝認定後も、壽雪の作陶への探求心は衰えることはありませんでした。特に、粗めの小石を混ぜた土を原料とする古くからの技法「鬼萩」を、彼は自身の独自の技法へと昇華させました。平成15年（2003年）には、家元である休雪の名を長男の龍作に譲り、自身は改めて「壽雪」と号を改めました。晩年まで、土練機を使わずに土踏みで粘土を作るなど、全ての作陶工程を自らの手で行うことに強いこだわりを持ち続け、102歳で亡くなる直前まで現役として活動を続けました。死後、従五位に叙されました。

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