三輪田米山

三輪田米山：近代書の巨匠、その生涯と作品

三輪田米山（みわだ べいざん、1821年2月12日-1908年11月3日）は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した、日本を代表する書家のひとりです。愛媛県松山市に生まれ、日尾八幡神社の神官の家に育ちました。幼少期より国学、漢学、和歌を学び、書道は日下陶渓を師として研鑽を積みました。僧明月や細井広沢、王羲之らの書風を研究し、独自の境地を開拓していったのです。

豪放磊落な書風

米山の書風は、豪放磊落で気宇壮大、雄渾にして天衣無縫と評されます。何物にも捉われない破格の書体は、近代書の先駆として高く評価されており、現在でもその独自の輝きは色あせていません。酒を好んだ彼は、「酒が入らぬと良い書は書けぬ」と豪語し、酒を飲みながら書を創作したという逸話は有名です。数々の作品を残し、その数は3万点にも及ぶと伝えられています。

明治天皇への奉仕

明治4年(1871年)には旧松山県より日尾八幡神社祠官に任命され、明治13年(1880年)に隠居するまで神官を務めました。さらに、明治天皇の侍候を務め、書道の指導にあたるなど、朝廷にも貢献しています。その功績は、彼の書道家としての地位をさらに高めることとなりました。

晩年とその後

晩年は愛媛県中予地方を中心に活動し、数多くの作品を残しました。1908年、88歳でこの世を去りました。墓所は、日尾八幡神社と自宅の近くに位置する、四国霊場第49番札所の西林山浄土寺です。

米山の作品は、大阪の山発商店（現・アングル・ミユキ）創業者である山本発次郎によって高く評価され、蒐集されました。戦災で多くの作品を失ったものの、山本は米山を「我が国近世五百年間不世出の大書家」と絶賛し、その才能を後世に伝えています。

2007年には三輪田米山顕彰会が発足し、彼の業績を顕彰する活動が続けられています。

家族と関連人物

米山の弟には、足利三代木像梟首事件の首謀者とされる国学者・三輪田元綱がいます。また、弟の妻である三輪田眞佐子は、三輪田女学校（現三輪田学園中学校・高等学校）の創立者として知られています。このように、米山は歴史に名を残す人物と繋がりが深く、その生涯は様々な出来事と関わりを持っていたことがわかります。

関連書籍

三輪田米山に関する書籍は多数出版されており、彼の生涯や作品、書風について深く知ることができる貴重な資料となっています。代表的な書籍には、『山本発次郎遺稿』『米山　人と書』『瓢壷の夢』『三輪田米山游遊―いしぶみガイド』『三輪田米山の書―近代という憂いのかたち』『文人逸脱の書―池大雅・江馬細香・三輪田米山』『三輪田米山の芸術―鳥舞魚躍』『米山の魅惑』『三輪田米山日記を読む』などがあります。これらの書籍を通して、米山の魅力をより深く理解することができます。

まとめ

三輪田米山は、豪放磊落な書風と、数々の逸話で知られる、近代書道史において重要な人物です。彼の作品は、現在もなお人々を魅了し続けており、その功績は後世に語り継がれることでしょう。彼の生涯と作品、そして彼を取り巻く人物や関連書籍を通じて、日本の書道史における重要な一端に触れることができます。

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