王羲之

王羲之について

基本情報

王羲之（おう ぎし）は、中国の東晋時代に活躍した政治家であり書家であり、「書聖」と称されています。本貫は琅邪郡臨沂県（現在の山東省臨沂市）にあり、門閥貴族の琅邪王氏の一員として生まれました。302年に生まれ、361年に亡くなるまで、彼は右軍将軍として名を馳せ、世間では「王右軍」とも呼ばれています。

生い立ちと家庭

王羲之は琅邪王氏の家系に生まれ、祖先には政治的な影響力のある人物が揃っていました。彼の父は東晋の淮南郡太守であり、妻は有力者郗鑒の娘でした。子供には、後の書家となる王玄之や王献之などがいます。王羲之の家族は、書道において後世に大きな影響を与えました。

早期の悩みと成長

王羲之は若い頃から健康問題に悩まされ、特に癲癇に苦しみ、吃音により人前に出ることを避ける時期もありました。しかし、彼は同族の有力者たちから将来を嘱望され、結局は課題を克服し、朝廷で高く評価されるようになります。彼が護軍将軍や、右軍将軍、会稽内史として地方での役職に就く頃は、義務と地元の人々との良好な関係作りに努めました。

政治と文学

会稽への赴任後、王羲之は自然に触れ詩や音楽に親しみます。ここで隠棲しながらも飢饉の際には中央に租税減免を要請するなど、地方における行政にも貢献しました。しかし、同時期に彼の対立者王述が県の行政を掌握したことから、彼は官職を辞し隠遁生活を選ぶことになりました。

書の技術と影響

王羲之の書道の技術は、彼を「書聖」として名を残させました。7歳から書道を学び、後漢の書法を継承し、12歳では父の筆から書を盗んで自らの技術を磨きました。彼の書のスタイルは、王献之を含む後世の書道に深い影響を与え、さらに日本の書道にも伝わりました。

代表作

• - 蘭亭序: 行書の傑作であり、特に高名です。これにより王羲之はその名声を確立しました。
• - 楽毅論: 小楷の中でも高く評価されている作品で、日本でも残されています。
• - 黄庭経: 老子の教えを綴ったもので、特に気韻の感じられる作品です。

後世の影響

王羲之の書道は、後の全ての書家に影響を与えました。儒教の科挙試験においても、彼の書法が好まれ、未だに彼の技術を学ぶことが書道の基本とされています。彼の作品は歴史的な意味合いだけでなく、視覚的に美しく後世に名作として認識されています。

真筆と逸話

王羲之の真筆は後の戦乱で失われましたが、彼の作品は唐代の太宗によって大切にされ、数多くの模写が残りました。彼のユニークな逸話として、ガチョウのエピソードや落書きが残されており、彼の人柄や独特の発想がうかがえます。

王羲之は、ただの書家に留まらず、その時代を象徴する文化の一部として、今も尚、多くに語り継がれています。彼の書道が後世に及ぼした影響は計り知れず、現在の書道界においても重要な位置を占め続けています。

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