三遊亭圓左

三遊亭 圓左 - 落語家の系譜

三遊亭 圓左（さんゆうてい えんさ）は、落語界における名跡の一つであり、過去には四代目まで存在しました。現在、この名跡は空位となっています。特に初代と四代目の二人は広く知られています。

初代 三遊亭 圓左の略歴

初代三遊亭 圓左は1853年に江戸京橋で生まれました。彼の本名は小泉熊山で、独特の風貌から「狸の圓左」と呼ばれることもありました。彼の父親は幇間として活動しており、落語や座興を披露していました。初めは鍼医を目指しましたが、師匠を1年半で失い、流しの揉み師として生計を立てます。しかし、幼い頃から落語が好きだった彼は、1871年頃に三遊亭圓朝の弟子となり、その後、三遊亭飩朝、三遊亭米朝などの流派を経て、1885年には三遊亭圓左を名乗り始めます。

真打認定を受けるのは1886年で、浅草の酒恵亭で披露が行われました。このとき、師匠の勧めで「百物語」を演じ、落語家としての地位を確立していきました。彼は後に3代目三遊亭龍蝶と名乗る時期もありましたが、すぐに旧名の圓左に戻りました。その後、晩年には「第一次落語研究会」の発起人の一人としても活動しました。

芸風と影響

彼の芸風は地味でありながら、その噺は巧妙で、楽屋内での評判は非常に高かったとされています。「柳の馬場」や「富久」、「天災」、「やかん」など、特に按摩が登場する噺は絶品と言われていました。また、彼は劇作家の益田太郎冠者とも組み、新作にも挑戦しています。

弟子たちへの指導にも力を入れ、特に3代目三遊亭圓馬には大きな影響を与えました。彼は技術の向上のため、毎日多くの場所を訪れ、人々と話をしながら噺を演じていました。「一席やっちゃうと、また一席やる」と語る彼の姿勢は、落語に対する真剣な取り組みを示しています。このような彼の姿勢が、どれだけ彼を極めていく原動力になったことか、後の世にも証言として語り継がれています。

最期の瞬間

1909年5月7日、彼は牛込亭で弟弟子の初代三遊亭圓右と共に「茶番狂言」を演じた後、「綱上」を踊りました。その後、帰宅中に脳充血の発作を起こし、翌朝に急死しました。享年57歳という短い生涯でした。彼の落語への情熱と影響力は、今もなお多くの落語家に受け継がれています。後世の落語界において、初代三遊亭 圓左の存在は忘れられないものとなっているのです。

もう一度検索