三遊亭圓歌 (初代)

初代三遊亭圓歌

初代三遊亭圓歌（さんゆうてい えんか、1876年6月10日 - 1927年10月22日）は、明治から大正にかけて活躍した落語家で、本名は泉 清太郎（いずみ せいたろう）です。

生い立ちと入門

東京府下谷区同朋町（現在の東京都台東区）で仕立て屋の息子として生まれましたが、幼い頃に火災で家を失い、父親とも死別するという不幸に見舞われました。1895年、近所に住んでいた三遊亭右楽の紹介で初代三遊亭圓右に入門し、三遊亭右左喜（うさき）を名乗りました。

修行時代

1897年、師匠に内緒で上総房州（現在千葉県の一部）へ巡業に出て破門されてしまいます。しかしその後、圓右に謝罪し、復帰を許されました。二ツ目昇進時には、三橘（みつたちばな）と改名しています。

1898年には再び上方（関西地方）、九州地方を巡業しました。巡業先で戦艦「橋立」の艦長と知り合い、従僕として日露戦争に従軍するという異色の経歴を持ちます。

1906年、帰国後に初代三遊亭小圓右（こえんう）として復帰。

1907年9月、真打に昇進し、三遊亭圓歌を襲名。京橋金沢亭で披露興行を行いました。

芸風と人物

圓歌は、人情噺、芝居噺、古典落語、古典の改作、新作落語と幅広いジャンルを手がけました。「肝つぶし」「鹿政談」「新助市」「品川心中」など多くの演目を持ち、新作落語では「酢豆腐」を「石鹸」という名で改作するなど、独自の工夫を凝らした演出も得意としました。

1927年10月22日、52歳で逝去。墓所は谷中長久院にあり、戒名は「圓浄清歌信士」です。

弟子

圓歌は多くの弟子を育て、落語界の発展に貢献しました。主な弟子には以下のような人物がいます。

3代目三遊亭金馬
2代目三遊亭円歌
船遊亭扇太郎
三遊亭歌輔・歌之輔
* 三遊亭歌子: 実子で、本名は斎藤吉之助。後に柳亭左楽(5代目)門下となり左喜松を名乗る。長唄三味線方に転向し、四世勝太郎門下で初代杵屋勝吉治、後に杵屋勝治郎を名乗った。

初代三遊亭圓歌は、その多彩な才能と波瀾万丈な人生で、落語史に名を残す人物です。

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