三遊亭天どん

三遊亭 天どん

概要

三遊亭 天どん（さんゆうてい てんどん）は、1972年8月12日生まれ、落語協会に所属する落語家です。本名は高野 泰三（たかの たいぞう）。寄席では三ツ組み橘の紋を掲げ、出囃子には『松の木小唄』を用いています。独特の視点と軽妙な語り口で、古典落語はもちろん、自作の新作落語でも知られています。

経歴

東京都東久留米市で生を受け、埼玉大学教育学部を卒業。落語の世界への扉を開いたのは1997年、三代目三遊亭圓丈師匠の門を叩いたのが始まりです。前座として「天どん」の名を与えられ、噺家としての第一歩を踏み出しました。

修行を積み、2001年5月には二ツ目に昇進。若手噺家たちの交流を深めるため、2003年には当時の若手7人とともに「大江戸台風族」を結成し、新たな落語の可能性を探る活動も行いました。

そして2013年9月、噺家にとって大きな節目となる真打への昇進を果たしました。この時同時に真打に昇進した同期には、川柳つくし、金原亭龍馬、四代目三遊亭金朝、柳家喬志郎がいます。真打昇進披露興行は鈴本演芸場で行われ、自身の代表的な新作である『巣鴨のうわさ』（9月25日）や、古典の大ネタである『百年目』（9月29日）を披露し、円熟味を増した高座を見せました。

2021年11月30日には、師匠である三代目三遊亭圓丈が逝去されました。これを受け、その門下であった二ツ目の三遊亭ふう丈、三遊亭わん丈両名の指導を、2022年2月1日より天どんが引き継ぐことになりました。形式上預かる形となりましたが、天どんは両名を自身の「弟弟子」として扱い続けています。その後、預かり弟子であった三遊亭わん丈が、2024年3月下席に異例の抜擢で真打に昇進。これは天どんの門下としては初めての真打誕生となりました。

人物・芸風

三遊亭天どん師匠は、熱烈な東京ヤクルトスワローズのファンとしても知られています。高座やメディアでヤクルトに関する話題に触れることもあり、その人柄が垣間見えます。

「天どん」という珍しい前座名は、入門時に師匠・圓丈がちょうど食べたいと思っていたものに由来するというエピソードがあります。この名の通り、親しみやすくユニークなキャラクターも魅力の一つです。

高座においては、古典落語にも真摯に取り組みつつ、現代的な感覚を取り入れた新作落語や、既存の話に新たな解釈を加えた改作落語も得意としています。幅広い演目に挑戦し、観客を惹きつける独自の笑いを生み出しています。

受賞歴

その実力は多くの場で評価されています。

2007年 第17回 北とぴあ若手落語家競演会 北とぴあ大賞
2014年 平成25年度 国立演芸場花形演芸大賞 銀賞
2015年 平成26年度 にっかん飛切落語会飛切落語大賞 奨励賞

活動・著作

寄席での高座に加え、様々なメディアでの活動も展開しています。フジテレビの無料動画サイト「見参楽」でのインターネット番組「お台場寄席DOUGA」に出演したほか、「新ニッポンの話芸 ポッドキャスト」にはゲストとして登場し、自身の落語観などを語りました。

また、落語を収録したCDやDVDも複数リリースしています。真打昇進を記念した「新世紀落語大全『三遊亭天どん 真打昇進なんだよ』」（2013年）、子ども向けのオムニバスCD「親子できこう 子ども落語集『ちりとてちん・たのきゅう』」（2014年）に新録で参加。さらに、落語本編に加え副音声による解説を収録した異色の作品『三遊亭天どん 世界初！副音声付き落語』（2020年）などがあります。

落語に関連する書籍も出版しており、写真とエッセイを組み合わせた「キッチンミノル写真文庫シリーズ 2 天どんの『百年目』」（2013年）は、落語家としての一面や「百年目」という演目への思いが垣間見える一冊となっています。

門下

三遊亭天どん門下には、以下の弟子がいます。

真打：三遊亭わん丈（三代目三遊亭圓丈死去に伴い移籍。天どん門下初の真打）
* 二ツ目：三遊亭ふう丈（三代目三遊亭圓丈死去に伴い移籍）、三遊亭ごはんつぶ

師の遺志を受け継ぎ、後進の指導にも力を注いでいます。

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