三重新幹線構想

三重新幹線構想

三重新幹線構想（みえしんかんせんこうそう）は、東京と三重県南部を直通で結ぶミニ新幹線の導入を目的とした計画です。この構想は、1995年に三重県知事候補の北川正恭が掲げた公約から始まりました。彼が知事に当選後、三重県内での新幹線導入に向けた調査が実施され、1999年にはその実現可能性が立証されました。この結果を受け、鳥羽商工会議所を中心に三重新幹線推進協議会が設立され、さらなる推進が図られました。

沿革

三重新幹線構想の起源は、1995年の知事選挙にまで遡ります。北川氏が当選後、県はミニ新幹線導入の feasibility studyを開始し、1999年には県議会に結果を報告しました。この報告は「実現性がある」とされ、地元経済団体と行政が連携して構想を推進する動きが見られました。しかし、JR東海から「導入は現状では不可能」との厳しい見解が示され、その後の推進活動は厳しい状況が続いています。

重要な出来事

• - 1995年: 北川正恭が三重新幹線構想を公約として掲げ、知事に当選。
• - 1999年: 三重県がミニ新幹線導入の調査結果を報告。
• - 2001年: 鳥羽地域の推進協議会が設立。
• - 2003年: 北川知事が退任、構想は一時的に停滞。

構想の内容

当初の構想では、在来線を利用した案と近鉄線を利用した案の2つが検討されました。

JR線を利用する案

この案では、東京駅から東海道新幹線の車両と連結され、名古屋駅でミニ新幹線の車両が切り離され、スイッチバックを行った後、関西本線、伊勢鉄道伊勢線、紀勢本線、参宮線を経て鳥羽駅、新宮駅へ至る予定でした。紀勢本線の非電化や狭軌のため、整備が必要でした。

近鉄線を利用する案

名古屋駅から近鉄名古屋線、近鉄山田線、近鉄鳥羽線経由で鳥羽駅に至る案です。このルートは新幹線と同様の標準軌を使用しており、また、三重県の試算は主にこの案に基づいて行われました。

三重県の試算

三重県は専門のコンサルタントに依頼し、ミニ新幹線導入の経済的影響を調査しました。その結果、東京と鳥羽間は約50分、新宮間は約75分短縮されると試算されています。また、事業費は約1,516億円と見込まれ、需要予測も示されています。名古屋と鳥羽間では、開業時1日当たりの増加旅客数が約5,900人、多気と新宮間が2,000人に達するとされ、回収期間も示されています。

鉄道会社の見解

JR東海と近鉄からは懐疑的な見解が示されています。JR東海は、東海道新幹線の輸送能力が限界に達しており、新しいミニ新幹線を導入する余地がないとしています。一方、近鉄も膨大な投資に見合うだけの利益が見込めるかどうか不安を表明しています。特に、リニア中央エクスプレスの建設が進む中で、輸送の将来的な見込みはますます厳しい状況に置かれています。

まとめ

三重新幹線構想は、観光や地域活性化に非常に大きな意義があると考えられていますが、多くの障害を乗り越えなければ実現への道は開かれません。地域の経済団体や住民の期待が高まる一方で、鉄道会社の見解や現実的な課題に耳を傾けながら、今後の展開が注視されています。

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