近鉄鳥羽線

近畿日本鉄道鳥羽線：伊勢神宮と志摩半島を結ぶ鉄路

鳥羽線は、三重県を代表する観光地である伊勢神宮と志摩半島へのアクセスを担う、近畿日本鉄道（近鉄）の重要な路線です。伊勢市の宇治山田駅から鳥羽市の鳥羽駅までを結び、全長13.2kmの全線複線電化区間です。路線記号はMで、近鉄の他の路線番号体系に組み込まれています。

鳥羽線の概要と歴史

鳥羽線は、近鉄山田線と志摩線を繋ぐ役割を担っています。伊勢中川駅から賢島駅までの区間は、歴史的な経緯から山田線、鳥羽線、志摩線の3つの路線に区分されていますが、運行上は一体として管理・運行されています。1970年の鳥羽線の全通によって、大阪や名古屋方面からの賢島駅への直通運転が実現し、伊勢志摩地域の観光アクセスが飛躍的に向上しました。なお、山田線と鳥羽線を跨って乗車する場合は、建設費回収のための加算運賃が適用されることに留意が必要です。

鳥羽線の建設は、伊勢志摩地域の観光開発を促進する近鉄の戦略に基づいて進められました。当初は、単線での開業でしたが、用地は複線分確保されており、1975年には全線複線化が完成しました。

路線の大半は山間部を走行しますが、池の浦駅から鳥羽駅間はJR東海の参宮線とほぼ並行しています。宮町駅～伊勢市駅～鳥羽駅間では、JR参宮線と競合する関係にありますが、近鉄鳥羽線は運転本数と終電時刻で優位性を保っています。また、鳥羽線は比較的新しい路線であるため、踏切がなく、道路との立体交差化が完全に行われています。

運行形態と本数

鳥羽線では、大阪・京都・名古屋方面からの特急列車が頻繁に運行されています。急行列車は大阪方面からの快速急行、大阪・名古屋方面からの急行が五十鈴川駅まで、朝夕は鳥羽駅まで直通運転されています。日中時間帯は快速急行は運転されず、五十鈴川駅以南は急行も運転されないため、特急と普通列車のみの運行となります。特急を除く列車は、線内の各駅に停車します。

鳥羽線の急勾配区間は多いものの、宇治山田駅から池の浦駅間は半径600m未満の急曲線がなく、線形が良好であるため、下り列車の一部は最高速度130km/hで走行しています。全線所要時間は、ノンストップ特急で9分、五十鈴川駅停車で11分、各駅停車でも14分と、短距離路線ながら高い表定速度を誇っています。

日中の特急は、宇治山田駅、五十鈴川駅（阪伊・名伊甲特急および「しまかぜ」は通過）、鳥羽駅に停車し、多くが志摩線賢島駅まで直通運転されています。日中の運行本数は、大阪難波駅発着、近鉄名古屋駅発着の特急が各1本ずつ、五十鈴川駅発着の特急が1本で合計3本です。朝夕時間帯や土休日は、運転本数がさらに増加します。

快速急行と急行は、ダイヤ改正によって運転本数や運転区間が変動することが多く、近年は鳥羽駅への直通運転が削減される傾向にあります。普通列車は終日運転され、概ね30分間隔で運行されています。

駅と設備

鳥羽線には5つの駅があり、主要駅には自動改札機が設置されています。無人駅である朝熊駅と池の浦駅には、簡易改札機が設置されています。また、PiTaPa、ICOCA、SuicaなどのICカードが利用可能です。

まとめ

近畿日本鉄道鳥羽線は、伊勢神宮や志摩半島へのアクセスを支える重要な路線です。良好な線形と高い運行本数により、観光客や地域住民にとって高い利便性を提供しています。今後も、伊勢志摩地域の観光振興に貢献していくことが期待されます。

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