参宮線

参宮線について

参宮線（さんぐうせん）は、三重県の多気郡多気町に位置する多気駅から、鳥羽市の鳥羽駅まで延びるJR東海の鉄道路線です。この路線は、伊勢神宮への参拝者を輸送するために設計され、1893年から1911年にかけて開業しました。

路線の歴史

参宮線は元々、亀山駅から鳥羽駅までの区間が参宮線として位置づけられ、その後の紀勢本線の全通により多気駅からの分岐路線となりました。1959年には現在の形に整理され、名古屋と伊勢をつなぐ重要な交通路として運行されてきました。

運行形態

現在の参宮線は、全線単線で、電化されていません。全体の運行本数はおおむね1時間に1から2本程度で、多くの普通列車は紀勢本線を経由してこれらの駅間を結んでいます。特急列車の運行は主に快速「みえ」の形で行われ、名古屋と鳥羽を直通します。この列車は、日中は1時間あたりに1本の間隔で運行され、また、朝と夕方の時間帯には各駅に停車するサービスも行っています。

使用車両

参宮線では全列車が気動車で運行され、主にキハ75形とキハ25形が使用されています。特急列車用の車両は通常運行されないため、全てがこの気動車に依存しています。

経済的な状況

残念ながら、参宮線は長い間、経済的な厳しさに直面しています。2013年度には伊勢神宮の式年遷宮に合わせて一時的に輸送密度が増加しましたが、普段の運行は日本国有鉄道の赤字路線に近い状況が続いています。近鉄名古屋線や山田線との競争が激化し、特に1970年代以降は利用者数の減少が顕著で、存廃の議論が行われることもありました。

現在の状況

近年も利用者数の問題は解決しておらず、ICカード乗車券のTOICAエリアには含まれないため、利便性の面で劣る部分があります。沿線住民や観光客にとっては重要であり続けているものの、その運営の持続可能性には課題が残ります。特に観光シーズンにおけるサービス拡充にも力が入れられており、2016年には伊勢車両区が廃止され、その後の運営の再編が進められています。今後も地方交通の一部として、伊勢神宮参拝者へ向けた特別な役割を果たす存在であり続けることが期待されます。

もう一度検索