三重県南部集中豪雨

三重県南部集中豪雨の概要

1971年の9月9日から10日にかけて、三重県南部を激しく襲った集中豪雨が発生しました。この自然災害は、尾鷲市や熊野市を中心に甚大な影響を及ぼし、41名の人的被害をもたらしました。特に、尾鷲市賀田町や古江町周辺では、土砂災害が相次ぎ、多くの命が失われました。

背景

この年、紀伊半島を横断した台風23号の影響があり、8月30日には尾鷲で513ミリという記録的な降雨が観測されました。そして、9月に入ると雨天が続き、さらに台風25号の通過後には前線が北上し、その活発化により大雨が降り注ぎました。発災前後の3日間で尾鷲測候所では1,095ミリの降水量に達し、近年の年間降水量のおよそ4分の1が短期間に集中して降ることになりました。

直接的な被害

この集中豪雨によって、死者と行方不明者は合計42人、負傷者は39人に達しました。特に、尾鷲市賀田町周辺の小浜川と古江町のおぶこ川で発生した土石流は、多くの命を脅かし、大きな損害を引き起こしました。それぞれの地点では、13人が亡くなる結果となったのです。また、住居への被害も深刻で、79棟が損壊し、1,200棟が浸水しました。

記録と影響

集中豪雨による総降水量は、木本で632mm、尾鷲で1095mmに達しました。最大1時間降水量は尾鷲で92mmとなり、これが大量の水を一気に地面に叩きつけた要因となったのです。

災害の記憶

尾鷲市賀田町には、自然災害の記憶を伝えるための「遭難之碑」が建てられています。この碑は、災害で13名が亡くなり、26戸の家屋が流失したことを省みるもので、地域の人々にとって大切な存在となっています。2021年には災害から50年が経過し、尾鷲市古江町で慰霊祭が行われ、亡くなった方々への追悼が行われました。

まとめ

三重県南部集中豪雨は、単なる自然災害ではなく、地域社会に深い傷跡を与えました。人々の記憶に強く刻まれたこの出来事は、再び同様の災害が起こらないよう、地域における防災意識の重要性を訴えかけるものです。犠牲となった方々の存在を忘れず、未来のために何ができるかを考えることが求められています。

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