三雲南小路遺跡

三雲南小路遺跡：弥生時代の王墓

三雲南小路遺跡は、福岡県糸島市三雲に所在する弥生時代の遺跡で、国の史跡「三雲・井原[[遺跡]]」の一部を構成します。細石神社の裏手に位置し、この地からは、弥生時代中期に築かれたと考えられる墳丘墓が発見されました。

発見の経緯

文政5年（1822年）、地元住民が土塀を築く際に偶然発見したとされています。その後、1974年の再調査で「2号甕棺」が発見されました。平成に入ってからの学術調査では、周溝を持つ方形周溝墓であることが判明し、甕棺を二つ設置した墓であることが確認されています。

構造と特徴

この遺跡は、一辺約30メートルの墳丘墓であり、二つの甕棺を埋葬主体としています。甕棺の形式は、弥生時代中期中頃の「立岩式古段階」の特徴を示すとされています。西側の周溝からは祭祀跡と見られる痕跡が見つかり、東側の高祖山系の山並みとの関連性が指摘されています。この構造は、後の時代の平原遺跡1号墓（平原弥生古墳）に通じるものと考えられています。

最新の研究では、三雲南小路遺跡と春日市の須玖岡本遺跡の巨石下甕棺墓が、類似した規模の構造を持っている可能性が示唆されています。

出土品：豪華な副葬品の数々

この遺跡からは、二つの甕棺から非常に多くの副葬品が出土しました。特に、中国製の銅鏡が多数見つかったことは、当時の国際的な交流を物語っています。

1号甕棺

甕棺外部
銅剣 1
銅戈 1
朱入小壺 1
甕棺内部
銅矛 2
銅鏡（前漢鏡） 31面以上
27.3センチメートルから16.0センチメートルの鏡
『連弧文銘帯鏡』が26面以上
ガラス璧（瑠璃璧）破片 8個以上
ガラス勾玉 3個
ガラス管玉 60個以上
金銅製四葉飾金具 8個以上

2号甕棺

銅鏡（前漢鏡） 22面以上
11.4センチメートルから6.0センチメートルの小型鏡
『連弧文「日光」銘鏡』が16面以上
ガラス垂飾（瑠璃璧の破片の再利用品？） 1
勾玉 13個（硬玉製 1、ガラス製 12）

これらの副葬品は、この墳墓が有力者のものであったことを示唆しており、特に大量の銅鏡は、当時の権力と国際的な繋がりを示す貴重な資料です。

まとめ

三雲南小路遺跡は、弥生時代の有力者の墓であり、当時の政治や文化を知る上で重要な遺跡です。多数の副葬品、特に中国製の銅鏡は、当時の国際的な交流を示す重要な証拠です。この遺跡は、古代伊都国の王墓の一つである可能性が高く、その歴史的価値は非常に高いと言えるでしょう。

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