三鷹市山本有三記念館

三鷹市山本有三記念館

三鷹市山本有三記念館は、東京都三鷹市の下連雀二丁目に位置する公立の博物館です。昭和初期に同地で生活し、その文学的業績が評価される作家、山本有三の生涯や作品について学べる場として、多様な展示やイベントが催されています。特に、同館の建物自体が、山本氏一家が1946年まで居住していた大正末期に建造された洋館であり、現在は三鷹市の有形文化財に指定されています。この歴史的な建物は、当時の生活様式や文化を伝える貴重な資産といえます。

歴史的背景

1919年に吉祥寺駅が開通し、その周辺は住宅地としての発展が進みました。1923年の関東大震災以降、東京からの移住が加速し、さまざまな教育施設が周囲に設立されました。このような環境の変化の中、山本有三は1936年に、当時放置状態にあった清田龍之助の旧宅を購入しました。この家では、彼の代表作である『路傍の石』や『米百俵』が執筆されました。

戦争中、山本邸は空襲に免れましたが、1946年には進駐軍に接収され、山本一家は転居することになりました。その後、彼は再びこの家に戻ることはありませんでした。1970年代から1980年代にかけて、東京都に寄贈され、最終的には1996年に「三鷹市山本有三記念館」として開館する運びとなりました。

建物の特徴

この洋館は1900年代初頭のフランス建築の影響を受けたデザインが施され、3つの特異な暖炉や、自然の石を用いた煙突など、独自の美しさを持った建物です。木造の部分と鉄筋コンクリートが組み合わさった構造で、2階建てのその内部は、当時のままの間取りが保存されており、来館者は山本が過ごした時間を感じながら見学を楽しむことができます。

建築自体が持つ歴史的価値から、1994年には三鷹市の有形文化財に指定されました。さらに、老朽化が進んだため、2017年から2018年にかけて改修工事が行われました。この改修にあたり、クラウドファンディングが実施され、地域住民や支持者からの寄付を受け、目標額は見事に達成されました。

展示と訪問

山本有三記念館の中では、常設展示と企画展示が行われ、彼に関するさまざまな資料や作品が展示されています。また、記念館内には、和室が復元されており、著述家としての山本の生活を垣間見ることができます。休館日は月曜日と年末年始ですが、開館日は毎日継続されており、入館料は300円で、特別な条件を満たす方は無料で享受できます。

周辺には、山本有三の足跡を辿る記念館庭園や、有三記念公園も用意されており、四季折々の自然を楽しむことができます。訪れる人々は、ただ文学を楽しむだけでなく、同時に美しい風景の中でリフレッシュできることも、この記念館の魅力の一つです。

アクセス

交通手段は多岐に渡り、JR中央線の三鷹駅南口からは徒歩約12分、吉祥寺駅南口からは徒歩20分です。また、バスを利用することも可能です。訪問の際には是非、周辺の美しい自然や文化に触れてみてください。

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