上井草球場

上井草球場の歴史

上井草球場（カミイグサキュウジョウ）は、東京都杉並区の上井草に位置した野球場であり、1936年に開場されました。この球場は東京セネタースの一家のホームグラウンドとして設立され、職業野球団の所有施設でした。この球場は1945年にいち早く復興するとともに、アマチュアとプロの野球の舞台として多くの歴史を刻んでいきました。しかし、1959年に水道貯水池のために廃止される運命を迎えます。

開場と利用状況

上井草球場は元々「東京球場」と名付けられ、1936年8月に完成しました。この球場は東京府東京市、杉並区に西武鉄道が建設したもので、当時のプロ野球開催場として重要な役割を果たしました。戸塚球場や洲崎球場と肩を並べる存在として、東京でのプロ野球観戦を楽しむ場所の一つでした。特に、西武鉄道沿線に位置していたため、都心から訪れるのが便利であるとされていました。

しかし、1937年に後楽園球場がオープンすると、上井草球場での試合数は減少に転じます。小じんまりとした外観を持つこの球場には、プロ野球の華やかさとは別に、地域の人々に愛された歴史があります。入口には東京野球協会、すなわちセネタースの略称「T.B.B.A」のロゴが掲げられていました。

戦後の復興と使用状況

1940年には、西武鉄道が市にこの球場を寄付し、東京市はこれを総合運動場に活用する計画を立てました。戦後の1945年には復興が進み、1946年から1952年までの期間、神宮球場が米軍に接収されていたため、上井草球場で東京六大学野球の試合が行われるようになりました。この時期には主に学生野球やアマチュア試合が中心になりました。

最後のプロ野球

上井草球場におけるプロ野球公式戦の最終は、1950年8月4日に行われた変則ダブルヘッダーでした。この日は、東急フライヤーズ対毎日オリオンズ、阪急ブレーブス対大映スターズの試合が行われ、いずれの試合も熱戦の末、東急と阪急が勝利を収めました。これが公式に記録されている上井草球場での最後のプロ野球の試合となります。

廃止とその後

1959年、東京都は水道貯水池の建設を決定し、上井草球場は閉鎖され、野球場は撤去されました。その後、1967年には貯水池の上に新たに軟式野球やソフトボール専用の野球場、体育館、テニスコートが整備され、上井草総合運動場として誕生しました。現在、この場所は杉並区に移管され、上井草スポーツセンターとなり一般の利用者に開放されています。

施設情報

上井草球場の設備には、内野が土、外野が天然芝で構成されており、両翼は100.6メートル、センターは118.9メートルとされています。本塁後方のバックストップは18.3メートルであり、最大収容人員は29,500人でありましたが、昭和24年の改装により45,500人に増加したとの情報もあります。

このように、上井草球場は東京都の野球史において重要な役割を果たしてきた場所であり、地域の人々に長年にわたり愛されてきました。

もう一度検索