上使街道

上使街道について

上使街道（じょうしかいどう）は、越中国において中世から江戸時代初期にかけて北陸道の主要な道として利用されていた交通路です。この街道は、現在の小矢部市にあたる今石動から高岡市の戸出、中田を通り、最終的には富山市まで至るルートを持っています。

一里塚の設置

江戸幕府は慶長6年（1604年）に、東海道、東山道、北陸道の三つの主要道路に「一里塚」の設置を指示しました。富山県内には加賀藩の手により23箇所の一里塚が設置されたことが知られており、これらは上使街道上に位置しています。これにより、旅人たちの距離を測る目印が整備され、旅の便が向上しました。

旧北陸道とは

上使街道は、江戸時代初期までの北陸道の本道であり、従って「旧北陸道」とも呼ばれます。室町時代から江戸時代にかけて、この街道には水戸田、大清水、中田、戸出などの集落が形成されてきましたが、時代が進むにつれ、別のルートが主要道路として取り扱われるようになりました。このため、今石動から高岡、小杉新村を経て富山へと向かう街道もまた「旧北陸道」として知られるようになりました。2つの街道を明確に分けるため、古くからの上使街道はその名で呼ばれることが多くなっています。

現在の名称の使用

今日、富山県道9号富山戸出小矢部線の一部として地図に記載されることが多い上使街道ですが、この用語は主に高岡市の戸出地区で用いられていました。逆に中田地区では「中田通」「中田往来」「中田戸出往来」と呼ばれることが一般的でした。

上使街道の由来

上使街道の名称は、江戸時代の将軍の代替わりの際に派遣された巡見役たちに由来しています。彼らは地方を視察し「巡見上使」や「廻国上使」として知られています。彼らが利用した道が「上使街道」などと呼ばれるようになりました。1647年12月12日に記された『越中道記』によると、巡見上使は水戸田（現・射水市）から現在の上使街道を経由し、さまざまな地点を訪れたことが記録されています。

さらにほかの巡見上使が訪れたルートとして、加賀国や南砺方面を経由するものなども残っており、歴史的な道路の網は複雑に絡み合っています。このため、本道のみを指して上使街道と呼ぶのは少し不適切であり、最近では「旧北陸道」「北陸本街道」として言及されることも増えています。

参考文献

• - 戸出町史
• - 中田町誌
• - 川合文書

上使街道はただの道ではなく、歴史の証人でもあり、地域の発展の軌跡を示しています。旅人たちの足跡が詰まったこの街道を知ることは、当時の文化や社会を理解する手助けとなるでしょう。

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