上喜撰

上喜撰（じょうきせん）とは

上喜撰は、京都府宇治市で生産される高級な緑[[茶]]の銘柄です。もともとは「喜撰」という銘柄があり、その中でも特に品質の高いものを「上喜撰」あるいは「正喜撰」と呼びました。このお茶の名前は、平安時代の歌人である喜撰法師の歌に由来します。

喜撰法師と上喜撰の由来

喜撰法師は、六歌仙の一人にも数えられている有名な歌人です。彼が詠んだ「わが庵は都の辰巳しかぞ住む世を宇治山と人はいふなり」という歌が、このお茶の名前の由来となっています。この歌は、自身の庵が都の南東に位置する宇治にあることを詠んだもので、宇治の地と深く結びついた喜撰法師の存在が、上喜撰という銘柄に歴史的な深みを与えています。

黒船来航と上喜撰

上喜撰は、江戸時代末期に起こった黒船来航にまつわる狂歌によって、広く知られるようになりました。嘉永6年（1853年）、マシュー・ペリー率いるアメリカの艦隊が浦賀に来航し、幕府は大きな衝撃を受けました。この出来事を風刺して詠まれたのが、「泰平の眠りを覚ます上喜撰 たつた四杯で夜も寝られず」という狂歌です。

この狂歌は、蒸気船（黒船）と上喜撰をかけて、黒船の来航によって幕府が狼狽した様子を皮肉ったもので、その作者は間部詮勝（松堂）であるという説があります。この狂歌によって、上喜撰は、単なる高級茶の銘柄としてだけでなく、歴史的な出来事と結びついた名前として、人々の記憶に刻まれることとなりました。

上喜撰の現代における広がり

上喜撰という名前は、現代においても様々な形で用いられています。例えば、競走馬の世界では、「スリープレスナイト」という馬がいます。この馬の名前は、父馬である「クロフネ（黒船）」の名前から連想され、上記の狂歌「泰平の眠りを覚ます上喜撰」にちなんで名付けられました。このように、上喜撰という名前は、歴史的な背景を持ちながらも、現代においても新しい形で受け継がれています。

まとめ

上喜撰は、宇治の高級茶として、また歴史的な出来事と結びついた名前として、広く知られています。その名前の由来は、平安時代の歌人・喜撰法師にまで遡り、江戸時代には黒船来航を風刺する狂歌にも詠まれました。現在では、競走馬の名前にも使われるなど、その歴史と文化的な価値は現代にも受け継がれています。

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