スリープレスナイト

スリープレスナイト：短距離界の女王

2008年、日本の競馬界に彗星のごとく現れた競走馬、スリープレスナイト。その名は、ペリー来航を風刺した狂歌「泰平の眠りをさます上喜撰　たった四杯で夜も眠れず」に由来しています。この馬名は、当時の人々の動揺と興奮を彷彿とさせ、スリープレスナイトの激しい走りにも通じるものがあります。

デビューは2007年。初勝利こそ3戦目でしたが、その後は500万条件戦、1000万条件特別、準オープン級のレースと次々と勝利を収め、オープン入りを果たします。 ゲートへの不安定さや、2007年夏の馬インフルエンザ流行による移動制限といった困難にも打ち勝ち、着実に実力をつけました。

オープン入り後は当初苦戦しましたが、2007年末から2008年初頭にかけてのレースでは2着と好成績を収め、勢いに乗って京葉ステークス、栗東ステークスとオープン特別を連勝。そして、重賞初挑戦となったCBC賞で4番人気ながら勝利を掴みます。これは鞍上である上村洋行騎手にとっても、1998年以来9年8ヶ月ぶりの重賞制覇となり、喜びもひとしおでした。

続く北九州記念も制覇し、重賞2連勝。そして迎えたG1スプリンターズステークス。1番人気に支持されたスリープレスナイトは、直線で力強く抜け出し、キンシャサノキセキの追撃を退け、見事初G1制覇を成し遂げます。鞍上の上村騎手にとっても初のG1勝利となりました。5連勝での快挙は、スリープレスナイトの実力の高さを改めて証明しました。

香港スプリントへの登録もありましたが、外傷により回避。その後、2008年度JRA賞最優秀短距離馬に選出され、ドバイゴールデンシャヒーンへの挑戦も計画されましたが、放牧先での蕁麻疹発症により断念。目標を高松宮記念に変更するも、惜しくも2着となりました。

スプリンターズステークス連覇を目指し調整が進められていましたが、右前屈腱炎を発症、2009年10月1日付で引退することとなりました。数々の栄光を掴んだ短距離界の女王は、繁殖牝馬として第二のキャリアをスタートさせました。

繁殖牝馬としては2頭の子を産みましたが、2012年2月、右橈骨を骨折し、8歳という若さでこの世を去りました。

スリープレスナイトは、その短くも華々しい競走生活で、多くの競馬ファンに感動を与え、記憶に深く刻まれた存在です。遠藤保仁選手が一口[[馬主]]として出資していたことでも知られており、その人気は競馬ファンの枠を超えていました。血統背景にも恵まれ、ヒシアマゾン、ヒシナイル、ヒシピナクルといった名馬を近親に持ち、その才能は血統からも裏付けられています。その短い生涯は、まさに疾風怒濤の如く、そして多くの人の心を掴んで離さなかったのです。

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