上御井神社

上御井神社の概要

上御井神社（かみのみいのじんじゃ）は、三重県伊勢市豊川町に位置し、伊勢神宮の外宮に属する重要な神社です。外宮の境内、高倉山の一部となる藤岡山の山裾にあり、その位置は一般の参拝者が直接立ち入ることのできない神聖な場所にあります。しかし、訪れる人々は付近から遥拝することが可能です。

この神社は外宮にある4つの所管社の中で第3位にあたる重要な位置を占めており、特徴的な点は社殿が存在せず、代わりに「御井覆屋」が上御井を覆い守っています。覆屋は二重の板垣に囲まれた構造になっています。

祭神について

上御井神社の祭神は上御井鎮守神（かみのみいのまもりのかみ）です。この神は外宮の御料水を守る神とされており、御料水を汲み上げる井戸の守護神とも認識されています。外宮で行われる祭典の際には、上御井神社にも祭祀が行われることとなります。

上御井とその重要性

「上御井」は、神に捧げる清浄な水を汲み上げる重要な井戸です。この井戸には下御井神社が予備の井戸として祀られていますが、上御井は涸れることがないとされています。実際に歴史的な記録として『太神宮諸雑事記』には、永承5年（1050年）に一時的な水不足があったと記されていますが、その信仰から神聖視されてきたことが伺えます。この井戸に異常が発生した際には、朝廷に使者を送って祈りを捧げたという伝承も存在します。

神職は毎朝、井戸から桶一杯分の水を汲み上げます。この際、浄衣をまとった神職が覆屋の御扉を開き、専用の柄杓を用いて水を汲み上げます。ここでは、神職が自分の姿を井戸に映せないという言い伝えがあります。また、上御井から汲まれた水は、伊勢神宮で醸造される神酒の重要な材料ともなります。

歴史と変遷

上御井神社の創建に関する具体的な記録は残っていませんが、古い文献には「御井」や「御井神」といった語句が見受けられます。『風雅和歌集』には、上御井に関する短歌があり、外宮神官家である度会氏の伝承も残っています。この伝承によると、上御井は高天原から日向国を経て伊勢国に移された井戸とされています。

度会氏が神官であった時代、井戸からの水汲みや掃除は重要な任務の一つであり、その役割には多くの責任が伴っていました。周辺地域の変遷について、江戸時代には民家が井戸の近くにまで建設されていた事実もあります。

明治時代に入ると、教部省の方針により上御井神社は一度神宮の管轄から外れましたが、この水が大御饌祭に欠かせないため、新たに井戸を掘るという措置が取られました。その後、再び神宮の管轄に戻されました。1910年には、覆屋が新たに造り替えられ、現在の形が形成されました。

アクセス

上御井神社は一般の参拝者に開放されていないため、大津神社から続く小道の行き止まり地点から遥拝する形となります。公共交通機関を利用する際は、JR参宮線や近鉄山田線の伊勢市駅から徒歩約5分の場所に位置し、周辺には三重交通のバス停もいくつかあります。自家用車の場合は、伊勢自動車道の伊勢西インターチェンジから県道を北に行くと、448台を収容できる駐車場があります。

上御井神社は神聖な水の源を守る特異な存在であり、その重要性は古くから受け継がれています。訪れる際は、静かにその神秘を感じることができる場所として多くの人々に親しまれています。

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