上日川ダム

上日川ダムの概要

上日川ダム（かみひかわダム）は、山梨県甲州市に位置する重要なロックフィルダムであり、富士川水系の日川に建設されています。このダムは高さ87メートルを誇り、東京電力リニューアブルパワーが管理する発電用のダムです。具体的には、同社が運営する揚水式水力発電所である葛野川発電所の上池を形成しており、最大で120万キロワットの電力を発生させることができます。ダムによって造られる人造湖は「大菩薩湖」と名づけられ、その名前は近隣の大菩薩嶺に由来しています。

ダムの構造

上日川ダムは中央土質遮水壁型のロックフィルダムとして設計されており、標高1,486メートルに位置しています。このダムは日本国内で3番目に高度な位置にあるダムであり、他の2つは南相木ダム（長野県）と野反ダム（群馬県）です。上日川ダムの有効貯水容量は830万立方メートルであり、これはダムの下池である葛野川ダムと同じです。

ダム自体は2000年から一般に開放されており、現地には常駐の案内員がいます。彼らは上日川ダムや葛野川発電所に関する詳細な情報を来訪者に提供しています。ダムの天端から上流に目を移せば大菩薩嶺が、下流には晴天時に富士山を望むことができるため、訪れる人々にとって美しい景観が広がっています。また、湖の水位の変動は非常に激しく、最大で21メートルも及びます。このため、釣りなどの活動は危険とされており、立ち入ることは推奨されていません。

ダムの発展の歴史

富士川水系は明治時代以降、水力発電に適した地域とされ、多数の水力発電所が建設されるようになりました。東京電力はこの地域における増大する電力需要に応えるべく、1989年から新規の電源開発計画を推進し、相模川水系と富士川水系を活用した葛野川発電所の建設に着手しました。上日川ダムがある日川に上池を、そして下池として葛野川ダムを土室川に建設する計画が立てられました。

両ダムの建設は1991年に始まり、1999年には上日川ダムと葛野川ダムが完成しました。その後、発電所も部分的に運転を開始し、現在は計画の75%にあたる120万キロワットを発電しています。両ダムの間には714メートルという大きな有効落差があり、単段ポンプ水車を備えた揚水発電所としては、世界でも最大級の規模を誇ります。

周辺の見どころ

上日川ダムから日川沿いを上流に進むと、作家中里介山の作品『大菩薩峠』で知られる大菩薩峠に達します。また、ダムから下流に進むと日川渓谷や竜門峡などの自然美に満ちたスポットが広がり、特に秋には紅葉が見事です。さらに、嵯峨塩鉱泉や天目山棲雲寺などの観光名所も近隣にあり、歴史的な背景を持つ場所としても知られています。特に天目山一帯は、甲斐武田氏の終焉の地として有名であり、1582年には武田勝頼が滝川一益の軍勢に追われ、最後の戦いが繰り広げられました。これらの歴史的背景は、訪問者に深い感慨を与えます。

アクセス方法

上日川ダムへのアクセスは、中央自動車道の勝沼インターチェンジを利用し、国道20号を新笹子トンネル方面へ向かうのが一般的です。日川を渡る手前の初鹿野橋北詰交差点を曲がり、山梨県道218号大菩薩初鹿野線を進むとダムに到着します。また、国道411号からもアクセス可能ですが、道幅が狭くカーブが多いため、国道20号経由が安全とされています。公共交通機関を利用する場合、最寄り駅はJR東日本中央本線の甲斐大和駅です。

このように、上日川ダムは単なる電力発生の場であるだけでなく、美しい自然と歴史を感じることができるスポットでもあります。

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