上杉 (仙台市)

上杉の概要

宮城県仙台市青葉区に位置する上杉は、1970年の住居表示実施により誕生した町丁です。仙台市都心部の北端に位置し、青葉区役所をはじめとする行政機関が集まる一方で、閑静な住宅地としての側面も持ち合わせています。現在の行政地名は上杉一丁目から上杉六丁目までで、全域で住居表示が実施されています。2022年 1月1日時点での人口は9694人、世帯数は5554世帯です。

上杉は、かつて存在した複数の小規模な町を統合して作られました。その際、上杉山通という通りの名前を短縮して「上杉」と名付けられました。地域は、南は北一番丁通り、西は勾当台通、北はJR仙山線、東は杉山通または二本杉通によって区切られています。ただし、北西部分は堤通雨宮町によって大きく欠けています。

歴史と発展

江戸時代には中級武士の武家屋敷が立ち並び、明治時代以降は住宅地として発展しました。20世紀後半には、南西角の一丁目に青葉区役所などの官公庁や企業のオフィスビルが建設されるようになり、他の地区でも高層住宅が増加しました。上杉は、南に隣接する錦町地区とともに、東北地方で最も地価が高い住宅地の一つとして知られています。

上杉の北端にあたる六丁目は、江戸時代には農地が広がっていました。その後、教育機関の誘致が進み、特に南部は「北七番丁」として発展しました。六丁目は古くから北仙台との結びつきが強く、地区内の選挙投票所も他の上杉地区とは異なる上杉山中学校が使用されます。

地価

2021年1月1日時点の公示地価では、上杉6-6-20の地点で1平方メートルあたり24万8000円と、高い水準を示しています。

地名の由来

上杉は、かつて存在した北一番丁から北八番丁までの東西の通りと、勾当台通、堤通、外記丁通、上杉山通などの南北の通りが交差する場所に位置していました。これらの通りは、それぞれ道と同時に町名としても用いられていました。上杉山通は、現在の愛宕上杉通りにあたり、杉山台に通じる道として名付けられました。上杉という地名は、これらの複雑な町割りだった地域をまとめる際に、上杉山通を基にして短縮したものです。なお、上杉という名前は、上杉氏とは直接的な関係はありません。

地理と特徴

上杉は仙台駅の約1.5〜3km圏内にあり、都心部の北限に位置しています。道路は碁盤目状に整備されていますが、六丁目北部にはかつて仙台軌道が走っていた影響でカーブが多い箇所もあります。全体的に平坦な地形であり、台原丘陵の麓に位置しています。

各丁目の特徴

一丁目: 青葉区役所やJAビルなど、官公庁や企業のオフィスが集積しています。古くからの住宅や飲食店も多く、交通の便が良いのが特徴です。2005年にはドコモ東北ビルが完成し、新たなランドマークとなっています。
二丁目: 味の素東北支社や酒造会館などが立地し、仙台駅前からの市街地が続いています。かつては勝山企業の所有地が多く、仙台勝山館やスケート場などがありましたが、現在は再開発が進んでいます。
三・四丁目: 低層住宅が中心の落ち着いた住宅地です。公示価格は東北地方で最も高い水準にあり、お屋敷町として知られています。三丁目には、かつて進駐軍が使用した旧逓信省仙台地方簡易保険局庁舎があります。
五丁目: 七十七銀行や仙台放送の本社があるほか、住宅やマンションが多く見られます。東部には韓国総領事館があり、北六番丁通り沿いには飲食店や医療機関があります。2008年には、住宅地部門で日本で2番目の上昇率を記録しました。
六丁目: 宮城教育大学や東北大学の寮、上杉山中学校などの教育施設が集積し、文教地区を形成しています。南部はマンションが多く、北部にはかつての荒巻村の一部が含まれています。

交通

上杉地区は交通の便が非常に良い地域です。地下鉄南北線やバスが利用できますが、地区内にはバスが通らない道路もあり、場所によって交通利便性に差があります。特に南東部はバスの空白地帯があり、やや不便な場合があります。

公共交通機関

仙台市地下鉄南北線：北四番丁駅、勾当台公園駅（六丁目の住民は北仙台駅も利用）
仙台市営バス：仙台駅前行きの路線が多数。
宮城交通バス：仙台駅前行きの路線が利用可能。
仙台市営バス：平日のみ運行の路線があり、学生や病院利用者に利用されている。

主な施設

青葉区役所
仙台北税務署
在仙台大韓民国総領事館

新旧対照

住居表示実施前の旧町名と現在の町名の対照は以下の通りです。

上杉一丁目: 上杉山通、北一番丁、北二番丁、北三番丁、北四番丁、外記丁通、勾当台通、堤通
上杉二丁目: 上杉山通、北四番丁、北五番丁、北六番丁、堤通
上杉三丁目: 上杉山通、北一番丁、北二番丁、北三番丁、北四番丁、光禅寺通、同心町通、中杉山通
上杉四丁目: 北一番丁、北二番丁、北三番丁、北四番丁、光禅寺通、杉山通、二本杉通
上杉五丁目: 上杉山通、北四番丁、北五番丁、北六番丁、中杉山通
上杉六丁目: 荒巻（梅田北、大樋南、上杉山通、堤北雷神、堤下雷神中、堤下雷神南、雷神東）、北六番丁、北七番丁、北七番丁明禅、北八番丁雨宮

参考文献

菊池勝之助『修正増補仙台地名考』、宝文堂、1971年。
仙台市企画市民局総合政策部政策企画課『仙台市の商業（卸売・小売業）平成14年商業統計調査結果』、仙台市、2004年。

外部リンク

中杉山通り×北四番丁

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