上毛野田道

田道（たぢ）について

田道は、生年不詳ながら仁徳天皇の時代に活躍したとされる武人です。『日本書紀』には氏姓に関する記述はありませんが、『新撰姓氏録』には田道公と記され、公の姓を持っていたとされています。

武人としての活躍

仁徳53年、新羅が朝貢を怠ったことを受け、田道は兄である竹葉瀬と共に新羅へ派遣されます。まず竹葉瀬が詰問使として赴き、その後、田道が兵を率いて新羅軍を打ち破りました。この戦いで四つの邑の住民を捕虜として連れ帰ったとされています。

仁徳55年には、蝦夷が反乱を起こしたため、田道が征討軍を率いて派遣されます。しかし、蝦夷の反撃に遭い、伊峙水門（いしのみと）で戦死しました。田道の従者は、形見として田道が手に巻いていた玉を妻に渡しました。妻はその悲しみに耐えかねて縊死したと伝えられています。また、後に蝦夷が田道の墓を暴いたところ、中から大蛇が現れ、蝦夷を次々と噛み殺したという伝説も残っています。

開拓神としての信仰

蝦夷討伐のために北方に派遣された田道は、その勇猛さから後世、北海道や東北地方で開拓神として信仰されるようになりました。現在でも、田道を祀る神社が各地に存在しています。

田道を祀る主な神社

猿賀神社（青森県平川市）
豊平神社（北海道札幌市）
信濃神社（長野県長野市）

紙幣の図柄に

明治6年（1873年）に発行が開始された国立銀行紙幣の兌換一円券には、田道の姿が描かれています。この紙幣の図柄については、2つの説があります。

一つは、上毛野田道が蝦夷の奇襲を受ける場面を描いたとする説です。もう一つは、源為朝が工藤茂光の軍船を迎え撃つ場面を描いたとする説です。いずれにしても、紙幣に描かれた人物は、海岸で大きな弓を構えた姿で、胴体に対して頭部が大きく描かれている点が特徴的です。

伝説

田道に関する伝説は、各地に残されています。青森県平川市の猿賀神社や宮城県石巻市の鳥屋神社には、田道に関連する伝承が語り継がれています。

系譜

『日本書紀』の記述によれば、田道は大荒田別命の子で、竹葉瀬の弟にあたります。

参考文献

『日本書紀』・巻11、 仁徳天皇紀55年の記述

関連項目

飛鳥時代以前の人物一覧
上毛野氏
* 田道町

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