上海ルージュ

『上海ルージュ』（原題：揺啊揺, 揺到外婆橋）は、1995年に製作された中国とフランスの合作映画です。監督は、中国を代表する映画監督である張芸謀（チャン・イーモウ）が務め、主演には、当時チャン・イーモウ監督のミューズとも呼ばれていた女優、鞏俐（コン・リー）が抜擢されました。

この作品は、李暁（リー・シャオ）の小説『門規』を原作としています。チャン・イーモウ監督は、それまでの作品でリアリズム的な作風に転換したかに見えましたが、本作では『紅夢』以前に見られた強烈な色彩感覚を再び用いた映像表現に挑戦しています。しかし、チャン・イーモウ監督自身は、この作品を気に入っておらず、失敗作と位置づけているという逸話も残っています。

また、この作品を最後に、チャン・イーモウ監督と鞏俐（コン・リー）は、一時的にコンビを解消することになります。これは、2人のプライベートな関係が終わりを迎えたことが原因だとされています。

物語の舞台は、1930年代の上海です。少年・水生（シュイション）は、叔父のリウを頼って大都会・上海にやってきます。リウは、アヘンと売春組織を取り仕切るギャングで、町の顔役である唐（タン）旦那の元で働いていました。水生は、唐の愛人で上海一の歌姫である金宝（チンパオ）の召使として働くことになります。しかし、金宝は唐の右腕であり第一の部下である宋（ソン）とも密かに男女の関係を持っていました。水生は、一見華やかな生活を送る金宝が、決して満たされることのない寂しい心を抱えていることに気づきます。やがて、ギャング同士の抗争が激化し、金宝や水生は唐と共に、遠く離れた小島にある秘密の隠れ家へと向かうことになります。

キャスト

小金宝（シャオ・チンパオ）：鞏俐（コン・リー）
老爺／唐旦那（タン）：李保田（リー・パオティエン）
六叔（リウ叔父）：李雪健（リー・シュエチェン）
宋二爺（ソン兄貴）：孫淳（スン・チュン）
水生（シュイション）：王嘯暁（ワン・シャオシャオ）
鄭三兄（鄭兄貴）：傅彪（フー・ピャオ）
師爺（執事）：陳述（チェン・シュウ）
余旦那（ユー）：劉江（リュウ・チャン）
翠花（ツイホア）：蔣宝英（チャン・パオイン）
阿嬌（アチャオ）：楊倩倩（ヤン・チェンチェン）

スタッフ

監督：張芸謀（チャン・イーモウ）
脚本：畢飛宇（ピー・フェイウー）
原作：李暁（リー・シャオ）『門規』
撮影：呂楽（リュイ・ユエ）
美術：曹久平（ツァオ・チウピン）
編集：杜媛（トー・ユアン）
作曲：張廣天（チェン・グアンティエン）
音響：陶経（タオ・チン）
製作：ジャン＝ルイ・ピエル、イヴ・マーミオン
製作総指揮：王薇（ワン・ウェイ）、朱永徳（チュー・ユンドゥ）

この映画は、1930年代の上海という退廃的な雰囲気を持つ舞台で、欲望と愛憎が渦巻く人間模様を描いています。チャン・イーモウ監督の独特の映像美と、鞏俐（コン・リー）の妖艶な魅力が、この作品を彩っています。また、ギャング映画としての側面も持ち合わせているため、ハラハラドキドキする展開も楽しめます。激動の時代を背景に、登場人物たちの運命がどのように変化していくのか、最後まで目が離せない作品です。

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