上海博物館蔵戦国楚竹書

上海博物館蔵戦国楚竹書

上海博物館に収蔵されている戦国時代の楚の竹簡群、通称上博楚簡は、中国の古代思想を探求するための貴重な資料です。この竹簡群は、紀元前373年から紀元前278年の間に成書されたと考えられており、儒家や道家の思想研究に欠かせない文献の一部となっています。

概要

上海博物館に所蔵されている上博楚簡は、1200枚以上に及び、文字数は約35000字に達します。この文献は、1994年に香港大学の教授である張光裕の仲介によって、上海博物館の館長である馬承源の手に渡りました。ただし、この竹簡は正規の考古学的な発掘を経てはいない盗掘品であり、具体的な出土地は不明です。

この竹簡は、およそ80種類の異なる文献に分類され、儒教的な内容が中心ですが、道家や兵家、陰陽家に関する文書も含まれています。また、『周易』や『礼記 緇衣』などの現存する文献も含まれているため、非常に価値のある資料となっています。特に、郭店楚簡との共通点が多く見られることが特徴であり、成書時期や出土地が近いことから、思想書が多く重複する文献も存在しています。

調査と出版

2001年以降、上博楚簡に関する調査結果は、「上海博物館蔵戦国楚竹書」というタイトルの下、上海古籍出版社から出版されています。このような文献の調査と公開によって、戦国時代の思想や文化を深く理解する手助けとなります。特に、日本においては、浅野裕一や湯浅邦弘などの研究者によって詳細な分析が行われ、多くの論文や著作が発表されています。

意義

上博楚簡は、単なる古文書にとどまらず、古代中国の思想的背景や文化の深淵を探るための重要な鍵とされています。その内容は、儒教のみならず、多様な思想の融合を示しており、古代中国における社会や倫理、自然観などに関する理解を深める材料となります。これにより、私たちは古代の知識人たちがどのように世界を理解し、また人々との関係を築いていたのかを知ることができます。

参考文献

中国出土資料学会編『地下からの贈り物 新出土資料が語るいにしえの中国』（2014年、東方書店）などの文献も参考にしながら、上博楚簡の研究は今后も続けられ、さらなる発見や解釈が期待されています。

関連項目

• - 郭店楚簡
• - 清華簡

このように、上博楚簡はただの古代文書ではなく、儒家や道家思想を理解する上での重要な資料として、研究者や愛好家たちにとって多大な注目を集めています。

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