清華簡

清華簡について

清華簡（せいかかん）は、清華大学が所蔵する、2000枚あまりに及ぶ戦国時代の竹簡群です。これらの竹簡は、盗掘によって古物市場に流出した後、実業家の趙偉国氏によって買い戻され、2008年に母校である清華大学に寄贈されました。北京大学による炭素年代測定の結果、戦国時代中期から晩期にかけての楚の竹簡であることが判明しています。

2010年以降、李学勤氏を主編として『清華大学蔵戦国竹簡』として順次刊行されており、その内容が徐々に明らかになってきています。

特徴

清華簡は、先[[秦]]時代の竹簡としては非常に良好な状態で伝わっており、その保存状態の良さが際立っています。また、その量の多さと、他の竹簡には見られない独特な内容が含まれている点が大きな特徴です。

特に注目すべきは、戦国時代当時の『書経』の篇と思われるものが多数含まれていることです。さらに、『竹書紀年』によく似た編年体の史書「繋年」や、九九の表を拡大したような数学書「算表」など、古代の歴史、思想、文化を解き明かす上で非常に貴重な資料が含まれています。

内容

清華簡に記されている内容は多岐にわたり、以下のようなものがあります。

尹至：湯王と伊尹の問答を記したもので、『呂氏春秋』慎大に類似する内容です。
尹誥：湯王と伊尹の問答で、『礼記』緇衣に引用されています。古文『尚書』咸有一徳にあたるとされますが、今文とは異なります。
程寤：従来『逸周書』に題のみ残っていたもので、文王が天命を受ける兆しとしての夢の出現を記しています。
保訓：文王が臨終の際に武王に残した言葉で、『尚書』の佚篇である可能性があります。
「耆夜」：武王が耆国に勝利した後に行った祭祀を記したもので、飲酒の際に歌う詩が含まれています。
「周武王有疾周公所自以代王之志」（金縢）：内容は今文『尚書』金縢とほぼ一致します。
皇門：内容は『逸周書』皇門とほぼ一致します。
「祭公之顧命」（祭公）：内容は『逸周書』祭公とほぼ一致し、祭公が臨終の際に穆王を戒める言葉が記されています。
楚居：楚の歴史を記した書です。
繋年：周から戦国時代にかけての歴史書で、『竹書紀年』と類似するものの、異なる点も多くあります。
「傅説之命」（説命）：3篇からなり、伝えられる古文『尚書』説命と一致する部分がありますが、今文とは異なります。
「周公之琴舞」：10篇の詩からなり、『詩経』周頌に似た内容です。
「周公之頌志」（芮良夫毖）：周の厲王の政治を批判する2篇の長い詩で、「周公之琴舞」と連続して書かれています。
良臣：歴代の良臣を記しており、字体から楚国以外で書かれた可能性（あるいはそれを楚人が書き写したもの）が指摘されています。
祝辞：災難を避ける呪文を記しており、「良臣」と連続して書かれています。
「赤鵠之集湯之屋」：伊尹に起きた不思議な話を記しており、黄徳寛氏はこれを先[[秦]]の小説と解釈しています。
筮法: 占筮の原理や方法を記しています。
別卦: 六十四卦の表で、馬王堆帛書『周易』の体例と一致しています。
算表: 掛け算の計算表で、九九の表に似ていますが、より大きい数が含まれています。
「厚父」: 王と厚父という人物の問答が記されており、『孟子』梁恵王下に引用されている『尚書』の文章に似た文章が含まれていることから、『尚書』の佚篇である可能性があります。
「封許之命」：許国の封君の命書で、『尚書』の佚篇である可能性があります。
命訓: 内容は『逸周書』命訓とほぼ一致します。
湯処于湯丘：湯王と伊尹に関する説話で、『呂氏春秋』本味や『墨子』貴義などに類似する内容です。
湯在啻門：湯王と伊尹の問答が記されています。
「殷高宗問于三寿」：高宗と少寿・中寿・彭祖の問答が記されています。
鄭武夫人規孺子：武姜と荘公に関する説話です。
鄭文公問太伯: 太伯と文公の会話が記されており、甲本と乙本があります。
管仲: 桓公と管仲の問答が記されています。
子儀：穆公と子儀という人物の会話です。
子産: 子産に関する説話です。
子犯子余
晋文公入于晋
趙簡子
越公其事
摂命
邦家之政
邦家処位
治邦之道
心是謂中
天下之道
八気五味五祀五行之属
虞夏殷周之治

これらの内容は、古代中国の歴史、思想、文化を深く理解する上で、非常に貴重な資料となっています。

参考文献

湯浅邦弘「清華大学竹簡と先[[秦]]思想史研究」『中国研究集刊』第50号、280-288頁、2008年。 http://www.shutudo.org/research/seika。
《戰國竹簡重光──清華大學李學勤訪談録》、《李學勤與清華簡研究側記》刊於明報月刊 2010年5月號
湯浅邦弘（編）『清華簡研究』、汲古書院、2017年
大野裕司『清華大學藏戰國竹簡『筮法』における占術の多重構造』、2016年

関連項目

先[[秦]]
竹簡
焚書坑儒
疑古
* 李学勤

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