上田バイパス

上田バイパスは、長野県東御市本海野の和交差点を起点とし、上田市上塩尻の上塩尻東交差点を終点とする、延長約11.5キロメートルの国道18号のバイパス道路です。広域幹線である国道18号のうち、長野県東信地方の中心である上田市の市街地における交通混雑を緩和し、スムーズな通過交通を確保することを目的として計画されました。この道路は、近接する上田坂城バイパスなどと共に、国道18号の幹線機能を強化する上で重要な役割を担います。

このバイパスの計画は、日本でモータリゼーションが急速に進展し始めた1960年代に遡ります。当時、上田地域でも自動車の普及や都市化が進み、市街地での交通渋滞や交通事故が増加（いわゆる交通戦争）が深刻な問題となっていました。これに対応するため、都市部の混雑を回避し、交通安全の向上を図る目的で、将来的な4車線道路として整備が構想されたのです。道路規格は第3種1級、設計速度は時速80キロメートル、計画幅員は27メートルと定められています。

バイパスの整備は段階的に進められてきました。1971年に都市計画決定がなされ、翌年には事業化が開始されました。最初に事業着手されたのは、終点側にあたる上田市住吉から上塩尻までの約5.6キロメートルの区間（第1期工区）で、1980年に工事が始まり、1988年に暫定的な2車線で供用が開始されました。

一方、起点側の区間（第2期工区）は、一部住民の反対運動や、周辺道路（浅間サンライン、上信越自動車道）の整備といった社会状況の変化による交通量予測の見直しなどもあり、事業の進捗が長期間にわたり停滞しました。その後、上田市国分から住吉までの約1.8キロメートル区間が2000年度に改めて事業化され、用地取得を経て2006年度に工事が始まり、2009年に暫定2車線で開通。これにより、上田市国分から上塩尻までの約7.4キロメートルがつながりました。

最後に残った未開通区間は、東御市本海野から上田市国分までの約4.1キロメートルです。この区間は2009年度に事業化され、2011年度から用地取得が進められています。国土交通省の公表資料によれば、橋梁工事などが進められており、2028年度の供用開始が見込まれています。この区間が開通すれば、暫定2車線ながらも上田バイパスの全線が完成することになります。

上田バイパスは、上田市街地の主要な渋滞箇所（中央北交差点や常磐城4丁目交差点など）を避けるルートを形成し、交通の流れを改善します。また、丸子地区などの市郊外部にある工業団地から国道144号を介して上信越自動車道上田菅平インターチェンジへアクセスする道路としても機能します。沿線には多くの商業施設が立地するほか、病院や学校といった公共施設も点在しており、地域住民の日常生活を支える基幹道路としての側面も持ち合わせています。

将来的には全線が4車線化される計画であり、特に終点側の上塩尻東交差点では国道18号現道や上田坂城バイパスとの立体交差が予定されています。ただし、専門家からは、早期供用のため暫定2車線で整備する場合、バイパスの末端で新たな渋滞が発生する懸念も指摘されており、交差点の立体化や多車線化を早期に進める必要性も提言されています。

上田バイパスは、その完成により、上田地域が推進する都市環状道路ネットワーク構想の一部を形成し、地域の交通利便性向上や経済活動の活性化に貢献することが期待されています。

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