上田宗箇流

上田宗箇流（うえだそうこりゅう）

上田宗箇流は、日本の茶道の流派のひとつで、主に武家茶道の伝統を引き継いでいます。この流派は、芸州浅野家の家老であった上田家から発展し、広島市西区を中心に活動しています。現在、家元は「和風堂」という庵号を持ち、財団法人として運営され、同門組織「和風会」が存在します。また、後援組織の「遠鐘クラブ」もあり、広島を始め、東京や関西、さらにはドイツのハノーバーにも稽古場があります。

歴史

上田宗箇流の初代は上田重安、通称上田宗箇です。重安ははじめ丹羽長秀に仕官し、その後、豊臣秀吉の配下として知られる武将でした。茶道においては、千利休と古田織部の教えを受けており、武士としての側面が強調されています。彼に関する茶人としての逸話は限られていますが、大坂夏の陣の際の逸話は有名です。この時、彼は竹藪に隠れて美竹を見つけ、茶杓を削り始め、無心に作業していたため、敵兵は彼の姿を不審に思い逃げ去ったとされています。「敵がくれ」と名付けられた茶杓は、彼の逸話にちなんでいます。元和5年（1619年）に浅野家に従い、広島に移って以来、この流派は地域社会の中で根付いてきました。

特徴

上田宗箇流は、他の茶道流派とは異なる特徴がいくつかあります。まず、左利きであった千宗旦の影響を受けることなく、武家茶道のお約束として帛紗を右手に持つスタイルをとります。また、柄杓の扱いや所作においても直線的な動きが際立ちます。さらに、この流派では男性と女性で点前の違いが明確であり、例えば女性は各道具を建水に仕込むのに対し、男性は蓋置きと柄杓を別々に扱います。この違いは、茶道の様式におけるそれぞれの役割や伝統を反映しています。

茶巾のたたみ方においても、女性は縦三つ横四つに捌くのに対し、男性は斜めに捌く「千鳥茶巾」で行います。伝統的な行事である「炉開き」では、お汁粉が振る舞われることが習わしとなっています。上田宗箇流は、千利休と同時期に創流されながらも、千利休よりも古田織部を重要視する文化を築いています。

歴代

茶道は通常、大名家において家元自らが指導することは少なく、上田家でも同様の伝統がありました。野村家と中村家から茶道の預師範が任命され、茶道の指導が行われていましたが、1955年に17代預師範の加計静堂が亡くなったことを機に、預師範制度は廃止され、以降は家元が直接指導を行うスタイルに変更されました。

主な門人

上田宗箇流には、多くの門人が存在しますが、その中でも弘中惇一郎は著名であり、小沢一郎の顧問弁護士として知られています。

参考文献

• - 上田宗源「上田宗箇流」『日本の茶家』河原書店
• - 宮帯出版社編集部「茶道家元系譜」『茶湯手帳』宮帯出版社

関連項目

• - 宗箇山
• - 縮景園
• - 桐葉菓

また、マツダ・ロードスターの初代モデル開発の際には、インテリアデザインに茶室のスタイルが参考にされ、開発チームは実際に上田宗箇流の茶室を訪れています。

脚注

外部リンク:

• - 茶道 上田宗箇流 公式ホームページ

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