茶杓

茶杓（ちゃしゃく）とは

茶杓は、抹[[茶]]を点てる際に使用する茶道具の一つで、抹[[茶]]を茶器から茶碗へ移すための匙です。竹製が一般的ですが、象牙や木、金属など様々な素材で作られています。

古くは茶事の度に作られていたため、古い時代のものはあまり残っていません。しかし、千利休が作製した「泪の茶杓」は特に有名で、現在も徳川美術館に所蔵されています。

利休型が普及してからは、茶杓師という専門の職人が現れ、茶人が手を加えて自作するようになりました。江戸時代には、珠徳や慶主座といった有名な茶杓師が活躍しました。

素材

現在では竹製のものが主流ですが、歴史的には象牙や鼈甲、水牛の角などが使われていました。これは、中国から伝わった薬匙がルーツであるためです。

村田珠光によって竹製の茶杓が作られるようになり、武野紹鷗や千利休によって形状が確立されました。利休時代の茶杓には拭漆が施されていましたが、千宗旦や小堀遠州の時代からは吹漆はなくなりました。

一般的な竹の素材には、晒竹（白竹）が用いられますが、煤竹や樹木が使われることもあります。また、利休が用いた実竹という特殊な竹も存在します。

形状

茶杓の長さは16cmから21cmほどで、抹[[茶]]を掬う部分は楕円形をしています。茶杓には「露」「櫂先」「枉げ軸」など、それぞれの部分に名称があります。

節の裏を深く削ったものを「蟻腰」「雉股」と呼びます。また、点前の種類によって節の位置や櫂先の形状が異なり、無節、止め節、中節などがあります。櫂先の形状は、丸形、一文字形、剣先形など様々な種類があります。

著名な茶杓

数多くの茶杓が歴史の中に存在し、特に有名なものとして以下のようなものがあります。

茶瓢: 珠光作と伝わる。
泪: 千利休が切腹を命じられた後に削り、古田織部に贈られた。
ゆがみ: 千利休作。永青文庫所蔵。
瀬田: 利休の弟子、瀬田忠正に利休が与えた。
玉ぶりぶり: 織田長益（有楽斎）作。根津美術館所蔵。
ケツリそこなひ: 細川忠興（三斎）作。永青文庫所蔵。
埋火: 小堀政一（遠州）の作。東京国立博物館所蔵。
弱法師: 千宗旦作。表千家6代家元覚々斎の筒が沿う。
蟻とおし: 表千家6代家元覚々斎の作。
稲羽州サマ: 片桐貞政（石州）の作。東京国立博物館所蔵。

茶杓は、茶道の歴史と文化を深く物語る道具であり、その素材や形状、銘には様々な意味が込められています。茶人は、茶杓を通して、茶の心と美意識を表現してきました。

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