上田治

上田 治について

上田 治（うえだ おさむ）は、大正から昭和にかけて活躍した日本のゴルフ場設計者であり、元競泳日本代表選手でもあります。彼は1907年に大阪府で生まれ、旧制茨木中学校や松山高等学校を卒業後、京都帝国大学農学部で学びました。高校時代には水泳部で活躍し、100m背泳ぎで日本記録を更新、また1923年から1927年にかけては極東選手権競技大会で3連覇を達成しました。

ゴルフとの出会い

1930年、上田は「廣野ゴルフ倶楽部」の造成工事に参加し、ここでゴルフ場設計に深く関与するようになりました。初めてコース設計に関わったのは、チャールズ・ヒュー・アリソンによって作成された設計図を基にしたもので、彼は当初ゴルフについての知識がなかったものの、大学で学んだ林業や造園学の知識を活かし、造成現場で助手として手伝っていきました。

廣野ゴルフ倶楽部の開場後も、上田はグリーンキーパーとして勤め、1936年には第11回ベルリンオリンピックで水泳の審判員として働いた後、欧米のゴルフ場を視察する機会を得ます。この経験は、彼の後のゴルフ場設計に大きな影響を与えることになります。

ゴルフ場設計の道

1940年から1954年にかけて、上田は廣野ゴルフ倶楽部の支配人を務め、戦争中には滑走路や農地になったコースの復元に尽力しました。アリソンの設計図を基にし、彼自身の独自なアプローチを加えたコース設計が生まれました。彼は土木建設機械を用いて地形を編集し、戦略性の高いコースを創造する手法をとりました。これにより、彼のコースは特に変化に富んだ設計が評価されました。

比較される井上誠一

同じ時代に活躍した井上誠一とよく比較され、井上は「東の井上、西の上田」という形で呼ばれることが多く、二人の設計スタイルの違いは顕著です。井上は地形を厳選する一方で、上田は「難しい用地でも造るのがプロの仕事」との持論のもと、条件が厳しい場所でも積極的にコースを作り上げる姿勢を持っていました。このことは、彼が日本のゴルフ場設計の先駆者として名を馳せる大きな要因となっています。

主な設計コースとエピソード

上田は「門司ゴルフ倶楽部・松ヶ江コース」や「若松ゴルフ倶楽部」をはじめとした数多くのゴルフコースを設計しました。特に、彼の設計したコースでは、スコットランドの影響を受けたパー3ホールの設計が特徴で、砲台状の「レダングリーン」が取り入れられています。

上田の設計理念には、常に場所の特性を最大限に活用する姿勢があり、「グリーンは手のひらをイメージして」と語るなど、コース設計に対する深い理解が窺えます。彼はまた、坂や丘陵を利用しつつも大胆に場面を操作することで、戦略的な要素を盛り込み、特に山の多い関西地域でその能力を発揮しました。

上田治は、日本のゴルフ場設計に多大なる影響を与え、その作品は今なお多くのゴルファーに親しまれています。彼の独自の視点と手法は、日本のゴルフ文化における重要な柱となっています。

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