上町駅

上町駅（かみまちえき）

東京都世田谷区世田谷三丁目に位置する、東急電鉄世田谷線の停留場です。駅番号はSG06が付与されています。世田谷区の中心部に近く、歴史的な建造物や商業施設へのアクセス拠点として重要な役割を担っています。

歴史

上町駅は、大正時代末期にあたる1925年（大正14年）5月1日に開設されました。およそ一世紀にわたり、世田谷の街並みの変化を見守りながら、地域の交通を支え続けています。

停留場構造

当駅は地上に設置されており、線路の両側にホームが設けられた相対式ホーム2面2線の構造を持っています。最大の特徴は、上下線それぞれのホームが踏切を挟んで互い違いに配置されている「千鳥式配置」である点です。これは、かつて上り線ホームの向かい側に下り線ホームがあったものを、上町検車区（現在の雪が谷検車区上町班）の設置に伴う線路配置の変更により、現在の形へと改められた経緯があります。

ホームの有効長は、世田谷線で運行される2両編成の電車2本分、合計4両に対応しています。通常時はホーム中央部が柵で仕切られていますが、車両交換などの特別な運用が行われる際にはこの柵が開放され、電車を縦に2本連結した状態で停車させ、乗客がスムーズに乗り換えられるようになっています。

改札口は三軒茶屋方面行きのホーム側にのみ設置されています。そのため、下高井戸方面から到着した際に改札を出る場合は、電車の進行方向最後尾となる車両の連結面側のドアが乗降共用の扱いとなります。ただし、現在の主力車両である300系は、先頭部分の車体幅が絞られていること、そしてホームが内側へ緩やかにカーブしていることで、ホームとの間に隙間が生じるため、最も三軒茶屋寄り、すなわち運転席直後のドアは安全上の理由から常に締め切り扱いとなっています。これはホーム嵩上げ工事が行われる以前は締め切りとされていなかった箇所です。

ホーム上の設備としては、上り線ホームに自動券売機が設置されています。また、世田谷線の駅としては唯一、駅構内にトイレが設けられており、ユニバーサルデザインに配慮した構造で、車椅子利用者やオストメイトなども使用できるようになっています。かつては、2022年（令和4年）4月まで事務所が営業しており、2012年（平成24年）までは「せた丸券売機」も設置されていましたが、その跡地には現在、新たな自動券売機が置かれています。また、古い時代には下り線ホームの下高井戸寄りに売店が営業していた時期もありました。

利用状況

上町駅単独の具体的な乗車人員数は公表されていません。世田谷線全体の利用状況については、別途公開されている情報をご参照ください。

停留場周辺

上町駅周辺は、歴史と現代が融合した魅力的なエリアです。行政施設としては、世田谷区役所上町まちづくりセンターが近くにあります。教育機関としては、東京医療保健大学世田谷キャンパスや青葉学園幼稚園などが点在しています。また、郵便・金融サービスを提供する世田谷一郵便局も利用可能です。

文化・史跡の面では、戦国時代にこの地を治めた吉良氏の居城跡である世田谷城阯公園、江戸時代の代官を勤めた大場家の住居である世田谷代官屋敷、そして地域の歴史や文化を学ぶことができる世田谷区立郷土資料館などが駅周辺に集まっており、歴史散策を楽しむことができます。さらに、毎年冬に開催される伝統的な行事「世田谷ボロ市」が開かれる「ボロ市通り」も駅の近くにあり、日常的な買い物や散策にも便利です。

バス路線

当駅およびその近隣には、東急バスおよび小田急バスのバス停留所が複数あります。「上町駅」バス停（東急バス）からは渋谷駅方面への路線が、「上町」バス停（東急バス・小田急バス）からは渋谷駅方面に加え、用賀駅、祖師ヶ谷大蔵駅、成城学園前駅西口、調布駅南口といった世田谷区西部や狛江市、調布市方面への路線、さらには桜小学校や等々力操車所方面への路線など、多方面へのアクセスが可能です。

隣の停留場

東急電鉄世田谷線において、上町駅（SG06）の隣接駅は以下の通りです。

三軒茶屋方面：世田谷駅（SG05）
下高井戸方面：宮の坂駅（SG07）

上町駅は、世田谷線の他の駅と同様に地域密着型の小さな停留場でありながら、その構造や歴史、そして周辺環境において個性を持つ駅として、日々の生活や散策に訪れる人々に利用されています。

もう一度検索