上越国境

上越国境：自然と歴史が織りなす分水嶺

上越国境は、群馬県と新潟県の県境を東西に走る山岳地帯です。かつての越後国と上野国の国境であり、現在では両県の県境となっています。信濃川水系と利根川水系を分ける中央分水嶺を形成し、三国山脈がその大部分を占めています。

厳しい自然環境

上越国境の山々は標高2,000m級ですが、中央分水嶺に位置するため気候の変化が激しく、日照時間も短いという特徴があります。そのため、夏は集中豪雨、冬は豪雪に見舞われやすく、雪崩などの災害も頻発します。急峻な地形は、このような気候条件によって浸食された結果です。

森林限界が低く、比較的低い標高でも高山植物が見られるのも特徴の一つです。

厳しい自然環境は、交通の難所であると同時に、登山などのレジャーにおいても脅威となります。特に谷川岳は、世界的に見ても遭難者が多い山として知られています。

国境を越える歴史

上越国境を越える道として、古くから清水峠ルートと三国峠ルートが利用されてきました。これらの道は、上野国と越後国を最短で結ぶルートでしたが、急峻な地形と自然災害により、通行は困難を極めました。

清水峠と三国峠

清水峠ルートは、上杉謙信が軍事目的で使用したとも伝えられています。江戸時代には三国峠ルートが整備され、三国街道として栄えました。

明治時代に入り、清水峠ルートの短さが再評価され、新道が建設されましたが、自然災害によりすぐに荒廃しました。その後、鉄道（上越線）の清水トンネルが開通し、川端康成の小説『雪国』の舞台となりました。冒頭の「国境の長いトンネル」は、この清水トンネルを指すとされています。

1957年には三国峠の直下に三国トンネルが開通し、初めて自動車での通行が可能になりました。しかし、トンネルの老朽化と狭隘化のため、2022年に新三国トンネルに付け替えられました。

鉄道と高速道路

その後、上越線の新清水トンネル、上越新幹線の大清水トンネル、関越自動車道の関越トンネルが開通し、上越国境を越える交通の便は飛躍的に向上しました。

国境上の位置関係

上越国境には、以下のような山や峠、トンネルなどが位置しています（西から順）。

三国山脈
白砂山
三国峠・新三国トンネル（国道17号）
三国山
平標山
仙ノ倉山
万太郎山
関越トンネル（関越自動車道）
大清水トンネル（上越新幹線）
谷川岳
新清水トンネル（上越線下り）
清水トンネル（上越線上り）
蓬峠
七ッ小屋山
清水峠（国道291号）
朝日岳
巻機山
利根川水源碑
大水上山
平ヶ岳（上越国境の最高峰）
景鶴山
尾瀬

現在の交通

上越国境を越える主な交通手段は以下の通りです。

自動車：国道17号（新三国トンネル）、関越自動車道（関越トンネル）
鉄道：上越線（清水トンネル、新清水トンネル）、上越新幹線（大清水トンネル）
* 徒歩：上信越自然歩道、谷川連峰縦走路、馬蹄形縦走路、国道291号（清水峠）

上越国境は、自然の厳しさと歴史の重みを感じさせる場所です。登山やハイキング、ドライブなど、様々な形でその魅力を体験することができます。

もう一度検索