三国街道

三国街道：歴史と交通の要衝

三国街道は、中山道の高崎宿（現在の群馬県高崎市）から分岐し、越後国の寺泊宿（新潟県長岡市寺泊地域）へと至る重要な街道でした。その名の由来は、上野国と越後国の国境に位置する三国峠を越えることにあります。

三国街道の歴史

三国峠は、古くから関東と越後を結ぶ交通路として利用され、上杉謙信の関東遠征の際にも用いられました。中世には清水峠など他のルートも存在しましたが、江戸時代に入り、幕府が清水峠を閉鎖し、三国街道の宿駅を整備したことで、主要な街道としての地位を確立しました。

当初、三国街道は中山道の分岐から始まり、佐渡奉行街道と呼ばれる道が本来の三国街道であったと考えられています。

街道の宿駅が確定したのは、万治年間（1658年 - 1661年）に高田藩の役人によって栃原峠が開かれた頃とされています。この街道は、長岡藩、与板藩、村松藩などの大名が参勤交代で利用し、新潟奉行や佐渡奉行などの役人も通行しました。

冬季の三国峠越えは、公式には禁止されていませんでしたが、降雪などの天候に左右され、危険を伴いました。記録によると、冬期は通行量が激減し、雪崩による死亡事故も発生していたことがわかります。

明治時代以降の三国街道

明治時代に入ると、三国街道は一等国道に指定されましたが、後に清水峠越えの道が国道に指定されたため、県道に格下げとなりました。鉄道の開通により、交通の中心は鉄道へと移り、宿場町は衰退しました。

しかし、東京と満州を結ぶ最短ルートとして三国街道が再び注目され、現在の国道17号となりました。戦後の改良工事を経て、三国トンネルが開通し、自動車の通行が可能となりました。現在、高崎と長岡を結ぶ役割は、国道17号や関越自動車道、上越線、上越新幹線に引き継がれ、関東と新潟を結ぶ大動脈となっています。

宿場と関所

三国街道には、多くの宿場や関所が設けられました。主な宿場には、高崎宿、金古宿、渋川宿、金井宿、北牧宿、横堀宿、中山宿、塚原宿、下新田宿、今宿、布施宿、須川宿、相俣宿、猿ヶ京宿、永井宿、浅貝宿、二居宿、三俣宿、湯沢宿、関宿、塩沢宿、六日町宿、五日町宿、浦佐宿、堀之内宿、川口宿、妙見宿、六日市宿、長岡宿、与板宿、地蔵堂宿、中島宿、渡部宿、寺泊宿などがありました。これらの宿場は、旅人の宿泊や物資の輸送を担い、街道の重要な拠点となっていました。また、猿ヶ京には関所が設けられ、人や物資の往来を監視していました。

現在の三国街道

現在、三国街道の一部は国道17号や県道として利用されていますが、旧道は生活道路やハイキングコースとして残されています。歴史的な宿場の面影を残す場所もあり、当時の雰囲気を偲ぶことができます。

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