上野巴恵

上野巴恵：柔道の才能と宿命

上野巴恵さんは、1989年生まれの日本の女子柔道家です。70kg級で活躍し、体落としを得意技としました。特に2011年のグランドスラム・東京での優勝は、輝かしい実績の一つです。

柔道一家に育ち、才能を開花

北海道旭川市出身の上野さんは、オリンピックと世界選手権でそれぞれ2連覇を達成した上野雅恵さん、世界選手権2連覇でロンドンオリンピック銅メダルの上野順恵さんという、2人の姉を持つ柔道一家で育ちました。3歳から柔道を始め、その才能は早くから開花しました。旭川市立六合中学校時代には全国中学校柔道大会で優勝。旭川南高校時代にはインターハイ70kg級で3連覇という偉業を達成しています。さらに、世界ジュニア選手権など、数々のジュニア国際大会でも優勝を重ね、将来を嘱望されました。

挫折と再起、そして新たな道へ

高校時代の全国高校選手権での左肘負傷を機に、上野さんの柔道人生は新たな局面を迎えます。以前のような圧倒的な強さを発揮することが難しくなり、苦悩の時期を過ごしました。それでも、彼女は柔道への情熱を捨てずに努力を続けました。

2008年には、姉たちが所属する名門・三井住友海上に入社。そして、2011年のグランドスラム・東京大会で、中学時代からのライバルである田知本遥選手を破り、決勝でもスペインの選手を下して優勝を飾ります。IJFワールド柔道ツアー初優勝という快挙でした。

その後、三井住友海上を退社し、海上自衛官として、自衛隊体育学校に所属。全日本柔道選手権大会5位入賞や実業個人選手権優勝など、結果を残しました。しかし、2014年の講道館杯で初戦敗退し、強化指定選手を外れたことを機に、現役を引退します。

多くの才能を持ちながら、オリンピック出場という目標を達成できなかったことは、上野さんにとって大きな悔いだったかもしれません。それでも彼女は、引退後も海上自衛隊に所属し、一般隊員として勤務を続けました。さらに、2016年には講道館杯に78kg超級で出場するなど、柔道への情熱を燃やし続けていました。

第二の人生：指導者として

2018年には故郷の旭川市に戻り、実家の道場で指導を始めました。現在は旭川市に隣接する当麻町で後進の指導に当たっています。

上野巴恵さんの柔道人生は、華々しい活躍と苦悩、そして再起を繰り返すドラマチックな物語です。持ち前の才能と、幾多の困難を乗り越えてきた経験は、彼女を指導者として成長させ、多くの若い柔道家たちに影響を与え続けていることでしょう。

戦績

上野さんの輝かしい戦績は、彼女の実力を物語っています。数々の国際大会での優勝や上位入賞は、日本の女子柔道界に大きな足跡を残しました。

2004年: 全国中学校柔道大会 優勝
2005年: アジアジュニア 優勝
2005年-2007年: インターハイ 3連覇
2006年: ロシアジュニア国際 優勝、全日本ジュニア 優勝、世界ジュニア 優勝
2009年: アジア柔道選手権大会 優勝
2011年: グランドスラム・東京 優勝
2012年: アジア柔道選手権大会 団体戦優勝
2013年: 実業個人選手権 優勝
* そしてその他多くの国際大会での入賞経験があります。

これらの輝かしい実績は、上野さんの類まれな才能と、並々ならぬ努力の証です。彼女が築き上げた功績は、これからも日本の柔道界に語り継がれていくことでしょう。

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