上野若元

上野若元：長崎漢画派の異才

上野若元（うえの じゃくげん）は、寛文8年（1668年）に生まれ、延享元年5月19日（1744年6月29日）に没した江戸時代中期の画家です。長崎漢画派の一人として知られています。

生涯

若元は、もと小川姓を名乗り、道英という名を持っていました。字は蘭栄、癡翁・崋山などの号を用いていました。河村若元とも呼ばれていました。実子に同じく画家の山本若麟がいます。

若元は学問を好み、特に歴史に精通していました。佐賀藩の鍋島綱茂に側近として仕えましたが、藩主の死後、画家と製鐔（刀の鍔の製作）を生業とするようになりました。

画風と影響

若元は、河村若芝から逸然伝授の北宗画風の漢画と、木庵伝授の鍔細工の技法を学びました。そのため、鍔には「崋山若芝」と記名していたため、師である若芝と混同されることがありました。

若元の画風は、伝統的な漢画の技法を踏まえつつも、独自の解釈と表現が加えられたものでした。彼の作品は、当時の長崎の文化的な背景を反映しており、異国情緒と日本的な感性が融合した独特の魅力を持っています。

評価と研究

上野若元は、近年再評価が進んでいる画家の一人です。彼の作品は、その独特の画風と歴史的な価値から、多くの研究者や美術愛好家から注目を集めています。今後の研究によって、彼の画業の全貌がさらに明らかになることが期待されています。

参考資料

成澤勝嗣「物はやりの系譜」（「隠元禅師と黄檗宗の絵画展」所載 神戸市立博物館、1991年）
「長崎系南画展」佐野美術館、1984年

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