下今市機関区

下今市機関区

下今市機関区（しもいまいちきかんく）は、栃木県日光市に位置する東武鉄道の重要な車両基地の一つです。東武鉄道の下今市駅に隣接しており、特に蒸気機関車（SL）の運行拠点として知られています。

この機関区が新設されたのは、東武鉄道が観光列車としておよそ半世紀ぶりに蒸気機関車「SL大樹」の運行を開始するにあたり、その運行体制を支えるためでした。構内には、「SL大樹」の安全かつ円滑な運転を担う専門的な乗務員や、使用されるSL、およびサポート役のディーゼル機関車などの車両を日常的に点検・確認する検修員が常駐し、車両の維持管理や運行準備を行っています。

沿革

下今市機関区の開設には、以下のような経緯があります。

• - 2017年（平成29年）4月21日: まず乗務員基地としての機能が先行して発足しました。これは、前日をもって廃止された新栃木乗務管区の一部業務を引き継ぐ形で行われ、南栗橋駅と東武日光駅・新藤原駅を結ぶ区間の乗務を担当するようになりました。
• - 2017年（平成29年）5月2日: 乗務員基地としての機能に加え、車両のメンテナンスや留置といった車両基地としての全体機能が正式に開設され、本格的な運用が開始されました。

設備

下今市機関区の構内には、SL「大樹」の運行やメンテナンスに必要な様々な設備が整備されています。

• - 機関庫: 車両の格納や日常的な点検・整備が行われる施設です。開設当初は2線の構造でしたが、運行体制の強化などに対応するため、2020年には未整備だった1番線部分を増築し、現在は3線体制となっています。これにより、複数の車両を同時に収容し、効率的な作業を行うことが可能となりました。
• - 上路式転車台: SLのように一方の方向へしか自走できない車両にとって、方向転換は不可欠です。下今市機関区に設置されている転車台は、かつて国鉄の長門機関区（山口県）で使用されていたものを移設し、修繕を施して再利用されているものです。この転車台の上でSLが回転する様子は、多くの鉄道ファンにとって見どころの一つとなっています。
• - 引上線: 検修庫などから車両を引き出す際に使用される線路です。車両の入換作業などに利用されます。
• - 洗浄線: 車両の外観を清掃するための設備を備えた線路です。運行を終えた車両や、定期的な清掃が必要な車両がここで洗浄されます。
• - SL展示館: 機関区の一部には、SLに関連する展示を行っている施設も設けられています。SLの歴史や構造、運行に関する資料などが展示され、訪れる人々にSLや鉄道について学ぶ機会を提供しています。

下今市機関区は、「SL大樹」という特別な列車運行を支えるために整備された、東武鉄道における特徴的な車両基地であり、SLの維持管理や運行に関わる専門知識・技術が集積する場所となっています。

（この項目に関する脚注や関連事項については、別途参照してください。）

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