下剋上エクスタシー

『下剋上エクスタシー』は、椎名林檎が2000年に行った初の全国ホールツアー「実演ツアー 下剋上エクスタシー」のライブ映像を収めた作品です。2000年12月7日に東芝EMIよりDVDとVHSで発売され、2013年にはユニバーサルミュージックからBlu-ray版もリリースされました。

この作品は、ツアーの中からNHKホール公演と福岡サンパレス公演を中心に映像化されています。特典映像として、NHKホール公演のみで行われたストリングスメドレーや、ツアーのドキュメント映像「実録 下剋上エクスタシー」が収録されています。

セットリストは、2枚目のスタジオアルバム『勝訴ストリップ』の収録曲を中心に構成されています。しかし、「ここでキスして。」、「ギブス」、「浴室」、「君ノ瞳ニ恋シテル」など、一部の楽曲は収録されていません。また、「依存症」の歌詞の一部である「ヒトラー」という箇所は、ライブでは歌われていますが、映像化にあたってはピー音で処理されています。さらに、「警告」の演奏中に椎名が髪を切る場面がありますが、これはライブ中に彼女が失敗をしたことによる反省と罰としての行為です。この髪を切った後の様子は、ドキュメント映像でスタイリストによって整髪される様子も見ることができます。

ツアーで披露された新曲「やっつけ仕事」と「ギャンブル」は、この映像作品には収録されていません。これらの楽曲は後に、それぞれ「やつつけ仕事」としてアルバム『加爾基 精液 栗ノ花』に、「ギャンブル」は斎藤ネコとの共同名義アルバム『平成風俗』に収録されました。

収録メンバー

椎名林檎（ボーカル、ギター）
弥吉淳二（ギター）
亀田誠治（ベース）
皆川真人（キーボード）
村石雅行（ドラム）
弦一徹勝ち戦記念楽団（ストリングス）

実演ツアー 下剋上エクスタシーについて

このツアーは、椎名林檎のシングル『本能』の世界観を継承し、病院をモチーフにした舞台設定となっています。ステージは手術室のように作られ、心電図や人体模型などが配置されています。シンセサイザーやドラムセットを置く台も手術用のベッドを使用しており、細部にまでこだわった演出が施されています。椎名林檎は全身に包帯を巻いたようなガーゼのワンピース、バンドメンバーは白衣を着用するなど、衣装も徹底されています。

また、来場者にはツアーグッズカタログに加えて、予診表風のアンケート用紙とぎょう虫卵検査用のセロハンテープが配布されるなど、ユニークな試みも行われました。

この映像作品は、椎名林檎の初期のライブパフォーマンスを堪能できるだけでなく、彼女の独特な世界観を深く理解できる貴重な資料となっています。

もう一度検索