下山重丸

下山重丸は、明治33年（1900年）に群馬県太田市で生まれ、平成10年（1998年）に没した国際的な庭園家です。篆刻を趣味としていました。

経歴

大正7年（1918年）に渡米し、翌年カリフォルニア大学建築学科に入学。大正13年（1924年）に卒業し建築学士の資格を取得しました。当初はマサチューセッツ工科大学への進学も検討しましたが、建築学よりもランドスケープ学に関心を移し、同分野を専攻できるハーバード大学デザイン大学院に進学しました。同大学院では、都市計画学と関連付けられた造園学分野（Master of landscape architecture in city planning、略称M.LACP）を専攻し、昭和5年（1930年）に修了しました。このM.LACPという修士号は取得者が非常に少なく、下山氏自身を含め8名しかいない希少なものであり、後に名刺に誇らしげに記していたと伝えられています。

アメリカでの活動

大学院修了後は、ジョン・ノーレン事務所やアーサー・コミー事務所など、複数の事務所に勤務しました。これらの事務所で、アイオワ州ダビュークの都心計画やフィラデルフィアのリージョナル・プランニングなど、都市計画の実務に携わりました。その後、ハーバード大学からの依頼を受け、ハーバード大学と北京大学が共同で設立する学会で、日本語と古代日本文学の講師を務めました。昭和13年（1938年）までアメリカ合衆国に滞在し、日本へ帰国しました。

帰国後の活動

帰国後、石川栄耀の紹介により中島飛行機に入社し、黒沢尻工場で営繕課長を務めました。同時に、土木学会文化映画委員会の委員としても活動しました。

第二次世界大戦終結後、連合国軍総司令部（GHQ/SCAP）が進駐軍のために募集した技術者のうち、農業部門の担当者として選任されました。進駐軍立川東洋空軍（現在の国営昭和記念公園付近）の造園担当顧問に就任し、米軍が接収した各地の施設や基地における造園計画の立案や自然条件データの収集などに従事しました。特に、現在の国営昭和記念公園の造成に際して、旧米軍基地時代から存在していた樹木を記録した『Land Management Plan』全5巻の作成に深く関わりました。また、この時期には明治大学工学部建築学科で非常勤講師としても教鞭をとりました。

昭和45年（1970年）からは都市計画協会の調査部長を務めました。昭和59年（1984年）には、長年にわたる造園分野への貢献が認められ、第3回日本造園学会上原敬二賞を受賞しました。その功績を称え、日本造園修景協会は協会の発展に尽力した下山重丸氏を記念し、下山奨励賞を設けています。

主な著作

下山氏は、自身の専門知識や経験に基づき、複数の著書を刊行しています。主なものとして、

『便覧式概観中国造園関連文化史』（1990年）
『Sakuteiki : the book of garden』（Town & City Planners（都市計画研究所）刊 1976年）

があります。また、昭和55年（1980年）刊行の『造園修景大辞典』（同朋舎刊）では、編纂に参加し、特に中国庭園関係の用語約120項目を担当しました。

参考文献

下山氏に関する情報は、『造園雑誌』に掲載された第3回上原敬二賞受賞時のインタビュー記事や、『庭』誌の追悼記事などに詳しい記述が見られます。

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