下川手駅

下川手駅

概要

下川手駅（しもかわてえき）は、かつて岐阜県稲葉郡厚見村下川手、現在の岐阜県岐阜市下川手にあたる地域に存在していた、名古屋鉄道（名鉄）名岐線の鉄道駅です。美濃電気鉄道によって開業しましたが、残念ながら太平洋戦争中の1942年（昭和17年）4月1日よりも前に廃止されており、現在はその姿を見ることはできません。この駅は、現在の名鉄名古屋本線において、茶所駅と岐南駅のちょうど間に位置していました。

歴史

下川手駅は、大正時代にあたる1914年（大正3年）6月2日に、美濃電気鉄道の手によって開業しました。当時の名岐線の一部として、地域住民の利用に供されていたものと思われます。その後、名岐線の運営は名古屋鉄道へと引き継がれますが、駅としての歴史は長くは続きませんでした。廃止された正確な日付は詳らかではありませんが、昭和17年4月1日以前のある時期にその役目を終えています。この時期は太平洋戦争が激化していた頃にあたり、戦時下の情勢が廃止に影響した可能性も考えられますが、具体的な理由は記録されていません。

現在の位置と痕跡

廃止された下川手駅が具体的にどの地点にあったのかは、現在では推定に頼るほかありません。現在の名古屋鉄道名古屋本線において、茶所駅から名鉄名古屋方面へ約700メートル、そして岐南駅から名鉄岐阜方面へ約800メートルほど進んだ辺りであると考えられています。現在の地名は、開業当時の所在地と同じく岐阜県岐阜市下川手です。

駅のあった場所を示す具体的な目印としては、現在の名鉄茶所検車支区の南口付近が挙げられます。特に、名古屋本線が岐阜県道77号岐阜環状線と平面交差する踏切の南側に位置する名鉄の変電所から、さらに南へおよそ100メートルほど進んだ地点が、駅跡の有力な候補地とされています。この一帯の線路敷地をよく観察すると、西側に沿って約50メートルにわたって線路の幅がわずかに広がっている箇所があることがわかります。この不自然な敷地の広がりは、かつてここに旅客が乗り降りするためのホームや駅舎、その他の関連施設が設けられていた名残であると推測されており、下川手駅が存在した物理的な痕跡として、唯一とも言える手がかりとなっています。

運行形態

下川手駅に停車していた列車種別は、廃止時点では普通列車のみでした。当時の名岐線を走行していた特急や急行といった優等列車は、下川手駅には停車せず通過していました。普通列車を利用した場合の隣接駅は、名鉄岐阜方面へは茶所駅、名鉄名古屋方面へは境川駅でした。境川駅もまた、下川手駅と同様に普通列車のみが停車する駅でした。

関連項目

• - 廃駅

下川手駅は、名鉄の歴史において短期間のみ存在した駅の一つとして、現在は地図上からその名を消しています。しかし、わずかに残る線路敷地の形状が、かつてこの地に駅があったことを静かに物語っています。

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