下川駅 (京都府)

下川駅について

下川駅（しもかわえき）は、かつて京都府福知山市漆端に存在した北丹鉄道の駅です。この駅は、地域住民が自らの手でホームを作ることを条件に設置が決まり、1948年に開業しました。北丹鉄道の開業初期には、漆端地区には駅がなく、最寄り駅までの距離は約1キロメートルもありました。住民たちの強い要望があった結果、実現することとなった下川駅の背景には地域の交通利便性向上への期待が寄せられていました。

設置の経緯

下川駅は、1923年に北丹鉄道が開業した際、漆端地区からの要請に応じて開設されました。当初は駅が無く、住民たちは上天津駅にアクセスするため、かなりの距離を歩かなければならなかったため、新しい駅の設置は切望されていました。住民が自ら土を運び、ホームを約100メートルの長さで作り上げるという努力が光った結果、1948年2月20日に駅として開業を果たしました。

自然災害と運行の困難

漆端地区は由良川の近くに位置していたため、水害の影響を受けやすい地域でもありました。特に、由良川が増水すると列車の運行が頻繁に止まっていました。福知山西駅と下川駅の間には、線路が由良川の堤防内に敷かれている区間があったため、わずかな増水で線路が水浸しになることがありました。このような災害への対応も駅の運営にとっては常に課題でした。

廃駅への道

北丹鉄道は1971年に営業を休止し、そのまま1974年に廃止されました。下川駅もそれに伴い廃駅となります。特に1974年2月28日に北丹鉄道が廃止されたことで、正式に駅としての機能を失いました。こういった歴史の中で、駅は地域住民にとって大変重要な存在であったものの、自然環境の厳しさや鉄道の経営の難しさが影響した結果となりました。

駅の構造

下川駅は地上駅として設置され、ホームは地面に直接接していました。1面のみの停留場で、転轍器は設置されていないシンプルな構造の駅でした。また、駅員は常駐しておらず、無人駅だったため、地域住民による自主的な管理がなされていました。駅舎は存在せず、簡素な施設が特徴でした。

現在の状況

現在、下川駅の周辺は田園地帯が広がっており、かつての駅の痕跡は残っていません。駅と上天津駅を結んでいた線路跡は、福知山市道広小路勅使線として整備されています。元々存在していた牧川橋梁も河川改修により取り除かれており、現在はその面影を感じることができない状況です。下川駅は地域の歴史の一部として、住民の交通の便を支えた基地でしたが、廃止後はその記憶も次第に薄れていくことでしょう。

年表

• - 1948年（昭和23年）2月20日：下川駅開業。
• - 1953年（昭和28年）9月25日：台風13号によって17日間営業休止。
• - 1954年（昭和29年）7月28日：水害復旧により全線営業再開。
• - 1961年（昭和36年）9月8日：第2室戸台風による水害で47日間営業休止。
• - 1971年（昭和46年）3月1日：北丹鉄道が営業休止。
• - 1974年（昭和49年）2月28日：北丹鉄道廃止、下川駅も廃駅となる。

まとめ

下川駅は地域協力によって実現し、交通の便を提供していたものの、自然災害の影響や運営の厳しさにより終焉を迎えました。歴史ある町の記憶の中で、下川駅は一つの重要なスポットとして位置づけられていましたが、今はその跡形もありません。

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