下手投げ

下手投げ（したてなげ）

下手投げは、相撲における決まり手の一種であり、その技術的な特性から小柄な力士によって多く用いられることが多い技です。相手の力量を利用しながら自らの体勢を調整し、巧妙に相手を投げ飛ばすこの技は、熟練した技術を要します。

技の概要

下手投げは、差手で相手の褌を引っ張りつつ、相手が攻め込んだ際に、一方の足を基点にして別の足を大きく開きながら投げる動作を含みます。このスタイルは、相手の出る力に自分の力を伴わせて投げるという性質を持ち、特に後ろに下がる体勢から打つことが多いため、テクニカルな技術が必要とされます。このような理由から、「下手投げ主体の力士は大成しない」という考え方が存在します。

また、半身の体勢で下手投げを狙うことは、下半身に大きな負担をかけることが多く、そのために若いうちに引退へと追い込まれる力士も少なくありません。

小兵力士の技

下手投げは、特に小兵の力士たちによって多く使用されます。歴史的な例としては、舞の海や智ノ花がこの技を巧みに操り、幕内に定着することに成功しました。彼らはともに三役まで上り詰め、下手投げ技術の魅力を広めました。近年では、朝青龍や日馬富士といった横綱もそれほどの体格ではなかったものの、この技を巧みに利用し大きな成功を収めました。

輪島大士は、「下手投げでも根こそぎぶん投げるから構わない」とし、その特徴的な左からの下手投げは「黄金の左」と称されました。彼のように、体格が大きくないにもかかわらず、下手投げを最大の武器として横綱になった力士もいます。

主な使い手

下手投げの使い手には、昭和と平成にわたる多くの名力士がいます。

昭和の名手

• - 沖ツ海
• - 武蔵山
• - 出羽錦
• - 安念山
• - 輪島：その鋭い左からの下手投げは「黄金の左」と称された。
• - 2代目若乃花
• - 増位山
• - 若嶋津
• - 寺尾

平成の名手

• - 大翔山
• - 巴富士
• - 舞の海：1993年9月場所8日目、対前頭15枚目武双山戦。
• - 智ノ花
• - 栃乃洋
• - 琴光喜
• - 朝青龍
• - 日馬富士

結論

下手投げは、その技術自体が相撲における一つの芸術とも言え、相手の力量を利用するおもしろさと、それを行う者の技量の高さが求められます。小柄な力士たちがこの技を武器にし、大きな成功を収めていることからも、その魅力と重要性は相撲の世界で特筆すべきものです。

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