下田圭将

下田圭将：幻に終わった大関候補の足跡

下田圭将（しもだ けいしょう）は、1984年1月28日生まれ、長崎県島原市出身の元大相撲力士です。追手風部屋に所属し、得意の押し相撲で西幕下筆頭まで番付を上げましたが、十両昇進は叶いませんでした。アマチュア相撲界では輝かしい実績を誇り、鳴り物入りで角界入りした下田の相撲人生を振り返ります。

アマチュア相撲での圧倒的な実績

島原三小4年生で相撲を始め、諫早農高、日本大学と進学。高校時代にはインターハイ個人戦準優勝、世界ジュニア相撲選手権大会重量級優勝を飾ります。日本大学に進学後も、東日本学生相撲新人選手権大会優勝、全国学生相撲選手権大会3位、世界相撲選手権大会無差別級優勝など、数々のタイトルを獲得。4年生時には主将を務め、国民体育大会秋季大会相撲競技・成年Aと全国学生相撲選手権大会で優勝しました。学生相撲では個人タイトル16冠という偉業を達成。ワールドゲームズ2005では115kg超級で金メダル、無差別級で銀メダルを獲得するなど、アマチュア相撲界を席巻しました。

鳴り物入りの角界入りと「下田事件」

大学卒業後、周囲の期待に応え、2006年3月場所前に追手風部屋に入門。5月場所で幕下15枚目格付け出しとしてデビューし、ワールドゲームズメダリストとして初の土俵を踏みました。

初土俵の場所で7戦全勝優勝という快挙を達成。通常であれば、翌場所での十両昇進は確実視されました。しかし、当時の十両の状況から昇進は見送られ、幕下15枚目格で全勝優勝しても十両に上がれないという前代未聞の事態が発生。この出来事は、相撲愛好家の間で「下田事件」と呼ばれるようになります。

この決定に対し、アマチュア相撲関係者からは「学生相撲への偏見が根強い」との批判の声も上がりました。下田自身は「悔しい気持ちはある」と語りつつも、気持ちを切り替えて次の場所での昇進を目指す姿勢を見せました。

その後の相撲人生

しかし、「下田事件」の余波と怪我の影響か、翌7月場所は2勝5敗と負け越し。その後も番付は上下を繰り返し、2009年には四股名を「宇映」に改名。2012年には「若圭将」「若圭翔」と短期間で改名を繰り返しましたが、三段目への降格も経験するなど、苦しい時期が続きました。

2016年3月場所で序二段に降格し、引退を発表。幕下筆頭が最高位で、ついに十両昇進は叶いませんでした。

引退後

引退後は、母校の日本大学に勤務し、アマチュア相撲への復帰も果たしました。幕下時代に培った料理の腕前を生かし、自作の弁当を持参しているそうです。2016年の全日本選手権大会では審判を務めました。

落合哲也（伯桜鵬）の活躍と再評価

近年、落合哲也（現在の伯桜鵬）が史上初の幕下付出から所要1場所で十両昇進を果たすと、下田は再び注目を集めることになります。自身がデビュー場所で7戦全勝優勝を果たしたにも関わらず、十両昇進を逃したという過去がクローズアップされたのです。

下田はインタビューで当時を振り返り、十両昇進を逃したことについて「気落ちすることはなかった」と語っています。しかし、その後の怪我などが重なり、関取の座を掴むことはできませんでした。

エピソード

相撲を始める前はサッカーに興味があり、徳永悠平と同じチームに所属していた時期がありました。

2011年には、取組中に脳震盪を起こし、不戦敗となるアクシデントも経験しています。

下田圭将の残した功績

下田圭将は、十両昇進を果たすことはできませんでしたが、アマチュア相撲界で数々の実績を残し、その実力は高く評価されていました。また、「下田事件」は、幕下付出制度や番付編成の問題点を浮き彫りにし、相撲界に一石を投じる出来事となりました。彼の相撲人生は、多くの相撲ファンにとって忘れられないものとなっています。

主な成績

通算成績：196勝193敗24休（59場所）
幕下優勝：1回（2006年5月場所）

改名歴

下田 圭将（2006年3月場所-2008年11月場所）
宇映 圭将（2009年1月場所-2012年3月場所）
若圭将 裕康（2012年5月場所）
若圭翔 裕樹（2012年7月場所-2016年3月場所）

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