下落合焼とりムービー

下落合焼とりムービー

『下落合焼とりムービー』は、1979年6月23日に公開された日本の映画です。この作品は漫画家の赤塚不二夫が企画と脚本の大部分を手掛け、山本晋也が監督を務めました。映画は「大日本下落合大学」を舞台に、全編にわたってショートギャグが展開されるスケッチ・コメディの形式を採っています。

映画の背景

この映画は、1978年にアメリカで公開されるとともに大ヒットを記録した『ケンタッキー・フライド・ムービー』にインスパイアされています。実際に、映画の製作は新宿二丁目の「ひとみ寿司」という寿司屋で高平哲郎やタモリなどの友人とともに盛り上がった際に始まりました。その席で赤塚は「3000万円あれば面白い映画が作れる」と口にし、続いて所ジョージを主演にすることが提案されたのです。

製作の過程

1979年、にっかつ映画が新たに設立した東映セントラルフィルムの一環として、この映画の製作が進められました。当初は製作費が1000万円ほどとされていたが、赤塚のアイデアとキャストの豪華さが受けて、大いに注目が集まりました。また、映画制作の過程ではギャグの内容が練り上げられ、キャストのユニークなパフォーマンスが映画全体のカラーを決定づける要素となりました。

キャストとスタッフ

映画にはタモリ、宇崎竜童、柄本明、内藤陳など、当時は無名だった多くのコメディアンも出演しています。赤塚不二夫のギャグ提供もあり、彼が持ち味とするユーモアが映画全体に色濃く反映されています。さらに、音楽はクニ河内と所ジョージが担当し、主題歌も所が歌っていることから、監督や出演者たちの親密な関係が伺えます。

映画の評価

公開後、この映画は賛否が分かれる結果となりました。特に、映画評論家の小森和子は「フィルムのムダ」と厳しく批判しましたが、それに対するタモリとの関係悪化が生じるなど、話題を呼びました。ただしその一方で、多くの観客に親しまれ、後に様々なメディアで特集されることになります。赤塚自身も、後のインタビューで「面白い部分だけをつなげたコントの集合体だった」と語っています。

撮影とロケーション

撮影は主に東京都町田市の和光大学で行われ、学生たちがエキストラとして参加しました。この自由な雰囲気が映画に良い影響を与えたと、スタッフたちも後に振り返っています。撮影の合間には、ギャグのクリエイティブなきっかけとなるアイデアも数多く生まれました。

終わりに

『下落合焼とりムービー』は、コメディ映画の中でも特異な位置を占める作品となりました。多くのキャストが後に成功し、この映画を取り巻くエピソードは現在も語り継がれています。所ジョージやグループ娯楽のメンバーにとって、青春の象徴的な経験とも言えるでしょう。映画制作の先駆けとも捉えられるこの作品は、日本のコメディ映画の歴史において独特な存在感を放ち続けています。

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