下野村 (愛知県)

下野村（しものむら）とは

下野村は、かつて愛知県丹羽郡に存在した村です。現在の扶桑町高雄下野にあたり、町村制が施行される以前の村でした。

歴史

1878年（明治11年）に下野原新田村、犬山羽根村と合併し、高雄村となりました。その後、1906年（明治39年）10月1日に高雄村の一部が山名村、豊国村、柏森村の一部と合併し、扶桑村が発足しました。この合併により、下野村は姿を消し、新たな村へと歴史を繋ぎました。

地理

『天保村絵図』によると、下野村には、犬山から名古屋へと続く岩倉街道（柳街道）が通っていました。また、やや東寄りには小口街道（織田街道）も存在し、これらの街道が交差する交通の要所でした。さらに、村内には東西に三本の道が通り、北側の道を利用することで、草井村方面から北山名村、下野村を経て下野原新田へとアクセスできたとされています。水利に関しては、1650年（慶安3年）に木津閘が完成し、大井堀（現在の古木津用水）が開削されました。これにより、木津で第一の枝井筋が設けられ、新川井筋となりました。さらに、古川陽水、上野村地内では二条に分かれ、現在の丹羽用水東部線と西部線になっています。これらの水路は、農業用水として重要な役割を果たしました。

地名

下野村の地名は、1443年（嘉吉3年）の鰐口に「本懸鰐口尾州丹羽郡下野村観音寺三十三所巡礼堂」という記録が残されており、古くから存在したことがわかります。また、名鉄犬山線の扶桑駅は、開業当初は高雄駅でしたが、1913年（大正2年）3月27日に下野駅に改称されました。この駅名は1948年（昭和23年）2月1日に現在の扶桑駅に改称されるまで、下野の名を冠していました。現在でも、木津用水駅近くには犬山市に属する「上野」という地名が残っており、この地域が歴史的に繋がっていることを示しています。

集落

下野村には、以下の集落が存在していました。

本郷：現在の東川あたりに位置していたと考えられます。
定松：現在のように南北に分かれる以前の、一つの集落でした。
宮島：海岸にある島ではなく、村の呼び名の一つで、下野の総鎮守である楉埜神社がありました。大宮があることから宮島と呼ばれたと考えられています。
伊勢帰：キリシタンや伊勢参りとの関連も指摘されていますが、確かなことはわかっていません。江戸中期の絵図には、岩倉街道沿いに宮島、福塚、堰という集落が記されており、この堰が現在の伊勢帰にあたります。堰の読みが「いせき」であり、変体仮名での表記やかな書きによって伊勢帰と書かれるようになり、いつしか「いせがえり」と呼ばれるようになったと考えられています。
大淵：木曽川の枝流が深く浸食して淵を成していた場所で、その形状から大淵と呼ばれるようになりました。

学校

下野村には、1873年（明治6年）10月5日に顕誠学校（現在の扶桑町立高雄小学校）が下野村覚王寺に創立されました。この学校は、地域の教育の中心として重要な役割を果たしてきました。

参考文献

『扶桑町史』、扶桑町、1998年、第四章 近世、280 - 282頁。

関連項目

愛知県の廃止市町[[村]]一覧
下野村 (曖昧さ回避)
* アクロスプラザ扶桑 - 現在、下野に建つ複合商業施設。

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